世界1位の自動車メーカー、トヨタが揺れている。最近相次いで発生した大規模な品質問題のせいだ。大規模リコールをはじめ、性能や燃費のデータ改ざんなど、製品の信頼度を根本から揺るがすような問題が相次いで発覚した。これは、2010年にグループを揺るがしたECU(電子制御ユニット)などの不具合による「アクセルペダル欠陥問題」以来、十数年ぶりのことだ。今回は小型車を製造する子会社ダイハツ工業が30年間にわたり、性能に関して174件の不正を働いていたことが明らかになった。これに関しては、以前にも指摘されていたように、目標達成を何よりも優先する製造方式が改善されておらず、旧来のやり方が踏襲された結果だとの分析が聞かれる。このためトヨタの内外では、「モノづくり(匠の精神)」を基本とした品質経営自体が危機に直面しているのではないかとの批判も起きている。トヨタは26日、ダイハツの工場の稼働を停止し、部品会社423社への損害補償の検討に入った。

■十数年前に指摘された問題を解決できなかったトヨタ

 トヨタの子会社であるダイハツは、小型車を製造し、一部をトヨタのブランドとして販売してきた。また、トヨタに車両用の各種部品も納品している。そのようなダイハツが、1989年から30年以上にわたって174件の安全試験でデータ改ざんなどの不正を働いていたことが判明したのだ。例えば、衝突試験でAというエアバッグを使用しながらも、実際の車には試験を行っていないBというエアバッグを搭載するという形だ。運転席でのテストを実施せず、助手席だけテストをしたにもかかわらず、両方でテストしたかのように虚偽の記載をしているケースもあった。トヨタのブランドとして販売された24車種を含め、計64車種に不正のあった部品が使われていた。また、トヨタの商用車を製造する子会社の日野自動車も、6年にわたって排出ガスや燃費で不正を行っていたことが昨年発覚した。ダイハツや日野自動車が製造した車は、韓国には輸入されていない。

 専門家らは、目標達成を過度に優先するトヨタの製造・販売方式がこのような結果を招いたと指摘する。これは2010年に大規模リコールが起きた際にも指摘された問題だ。ダイハツの不正を調査した委員会は「目標達成とスケジュール死守という強烈なプレッシャーがあり、これに対する適切な解決策がなかった」と明らかにした。販売に向けて何の狂いもなく製造することが最高の価値と考えられ、それに伴って発生しうるリスクを指摘する人がいても、その警告の声が埋もれてしまう環境が醸成されていたというわけだ。

 問題を起こした各メーカーは、トヨタの世界1位戦略によって買収された会社だ。トヨタは2000年代に入り、スバル、ダイハツ、日野自動車などの株式を取得してグループ会社化した。フォルクスワーゲン、ゼネラルモーターズ(GM)、ルノーなどの巨大企業と競争するためで、これらグループ会社の販売台数は「トヨタグループの販売台数」に計上された。こうしてトヨタは2007年に初めて世界1位となり、2020年からは3年連続で1位の座を守っている。

■トヨタ本陣でも相次ぐリコールなど品質問題発生

 品質問題は最近、トヨタ内部でも発生している。トヨタが開発に何年もかけ、昨年発売に漕ぎつけた初の電気自動車(EV)「bz4x」は、タイヤが外れる恐れがあることが分かり、発売からわずか2カ月でリコールとなった。12月21日には全世界で発売されたアバロン、カムリ、RAV4、レクサスESなど主要車種合わせて112万台がリコールとなった。助手席に子どもや小柄な人が乗った場合、センサーが認識できずエアバッグが開かないことが判明したからだ。

 トヨタは2023年4月に佐藤恒治氏を社長兼最高経営責任者(CEO)に選任し、再出発を告げたが、依然として将来の主力となるEVへの転換をめぐって迷走しているとの指摘も出ている。最高のハイブリッドメーカーであることは確かだが、EVトップのテスラなどとの差は開く一方だからだ。トヨタの販売台数はテスラの7倍に達するが、時価総額はテスラの3分の1にすぎない。車1台当たりのマージンもテスラの方がトヨタより4倍高い。ブルームバーグは「EVに消極的なトヨタは、EVを研究し、消費者に紹介するチャンスを逃している」と指摘した。販売を続けてこそ欠陥を修正し、より良質な車を製造できるものだが、現在の構造では恐らく負け戦を続けることになるだろう。

キム・アサ記者

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