▲写真=NEWSIS

 韓国政府が「北朝鮮人権増進総合計画」を樹立し、26日に発表した。北朝鮮における人権の増進のための汎政府的な青写真であると共に、北朝鮮人権増進諮問委員会が国会の非協調によって発足できず、3年にわたって法定計画を樹立できていないことに伴う苦肉の策だ。北朝鮮住民の情報アクセス権強化や人権意識の底上げ、国際社会との協力強化など8分野で実践課題を提示した。

 26日に統一部(省に相当。以下同じ)・外交部・法務部が共同発表した資料によると、韓国政府は46億ウォン(現在のレートで約5億1000万円)を投じてソウル市江西区麻谷洞一帯に国立北朝鮮人権センターを建てることとした。北朝鮮の人権侵害の実相を世界に広く伝える、韓国版「ホロコースト博物館」の役割を果たすものと期待されている。韓国政府は、市民社会との協業のためセンター長を民間から採用する案を検討しており、センターを国際会議・行事の会場として支援し、北朝鮮人権コミュニティーの活性化も支援する計画だ。

 また、北朝鮮人権報告書を従来通り年例で発行するが、可読性を高めるための視覚化資料を追加し、来年6月に韓国語版および英語版を同時に出すこととした。統一部の関係者は「新型コロナの状況での北朝鮮における人権、北朝鮮への強制送還といった新たなイシュー、テーマを反映する」と語った。また、離散家族の高齢化に対応して、法定の実態調査を現行の5年から3年へと2年前倒しして、来年実施する一方、北朝鮮拉致被害者・抑留被害者・国軍捕虜の生死の確認および送還要求を定例化することとした。韓国政府は「北朝鮮当局に対し、深刻な人権侵害の中止を引き続き求めていく」とコメントした。

 こうした中、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は最近、国連人権理事会に提出した意見書で「中国は北朝鮮を違法に離脱したとみなされる人々に対する処遇の深刻さを認めなければならない」とし、「脱北民の中で保護が必要と判断される人々が合法的に中国に居住し得る身分証や書類を発給する等、人道的空間を整備すべき」と指摘した。中国は「難民の地位に関する条約」の締約国だが、脱北民については経済的問題で国境を越えた「不法滞在者」と判断し、強制送還している。来年1月には中国が、人権理事会で4年6カ月ごとに行われる「普遍的・定期的レビュー(UPR)」を受け持つことになっており、脱北民強制送還問題に関する国際社会の圧迫はさらに強まるものとみられる。

金隠仲(キム・ウンジュン)記者

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