■「ダンプリング」ではなく「マンドゥ」…「自ら進んで学ぶ外国語になった韓国語」

 ハングルは、以前は外国人には越えられない「言葉の壁」だった。語順や表記法がアルファベットとは全く違う上、韓国だけでしか使われない文字・言語だったからだ。2000年代初めまでは、ハングルを学ぶ外国人は韓国への移住や、サムスン・LG・現代といった韓国の大手企業グループに就職を希望しているケースがほとんどだった。だが、その流れを変えたのは韓国の大衆文化だ。

 2010年代に入るとK-POPの流行で歌をまねて歌い、歌詞を理解しようとする一部のファンたちがハングルを学び始めた。そして、それ以降も韓国の映画や料理、企業の商品までもがグローバルに人気を集め、世界各地で韓流コンテンツを楽しむためにハングルを学んでいる。英オックスフォード大学韓国語・言語学科のチョ・ジウン教授は「ハングルは今や全世界の人々が『自ら動機を付与して(self-motivated)学ぶ言語だ』と語った。

 韓国企業も海外マーケティングでハングルを積極的に活用している。昨年11月末、英ロンドンのショーディッチ地区で行われた食品メーカー、CJ第一製糖のブランド「bibigo(ビビゴ)」ポップアップストアでは、「冷凍キムパプ(のり巻き)」や「キムチ・スプリングロール(春まき)」などを販売した。ランチタイムにはロンドンの消費者200-300人が集まって広さ200平方メートルの売り場を埋め尽くした。売り場の壁面にかかったポスターには「チュモクパプ(おにぎり)」「マンドゥ」「チメク(チキンとビール)」などとハングルで書かれていた。CJ第一製糖の関係者は「今や簡単な商品名は英語ではなくハングルで表記した方が消費者の反応も良い」と話した。

■ハングル愛好家は「大口顧客」

 海外向けの輸出商品にハングルをそのまま使用する韓国企業も増えている。食品大手メーカーの農心は「辛ラーメン」「ノグリ」「チャパゲティ」など韓国国内における主力商品のハングル名を海外でもそのまま使って輸出している。農心の関係者は「2000年代初めまでは発音が難しいという不満の声も寄せられたが、最近は韓国の商品だというイメージが伝わり、売上がさらに伸びている」と語った。

 酒類メーカーのハイト眞露も英国をはじめとする欧州に焼酎を輸出する際、「チャミスル」などの商品にハングルをそのまま付け、「Jinro(眞露)」とアルファベットを併記する戦略を取っている。

■「ケ×マ キムチ」「チンチャうまい」…韓国語人気でスラング使うケースも

 韓流ポップカルチャーの人気が急上昇するにつれ、日本や東南アジアの一部において、10-20代の間で韓国語のスラングや新語をまねする現象も流行している。動画共有サイト「ユーチューブ」で韓国語を学ぶうちに「○○ウマイ」などの言葉を使うようになった人もいる。

 日本の10-20代の間では、日本語と韓国語の合成語が流行している。韓国語の「チンチャ(本当に)」という言葉と、日本語の「うまい」という言葉を合わせた「チンチャうまい」が代表的な例だ。韓国料理や文化をテーマにしたコンテンツを提供している日本人ユーチューバーの動画には、このような表現がよく登場する。「飾っていないようでさり気なく飾っている」という意味の韓国語の略語「クアンク」などもそうだ。情報が広がるスピードがあまりにも速いため、韓国の流行語が日本のMZ世代の間でほぼリアルタイムで使われている。

 ところが、韓国語のスラングまでそのまま使われるというあきれた現象も起こっている。昨年10月、日本の食品メーカー「天政松下」では韓国人インフルエンサーと共同開発したキムチを発売したが、当時日本人の間で流行していた「ケ×マ」という韓国語のスラングをキムチの商品名に入れた。このスラング騒動が広まるや、メーカー側は謝罪文を出し、商品名も変更した。

宋恵真(ソン・ヘジン)記者、チョン・スンウ記者

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