▲12月5日、京畿道城南市の韓国学中央研究院清渓学堂でパク・テグォン教授(左)が文献研究方法論の授業を受ける修士・博士課程の留学生たちと話をしている。/ユン・サンジン記者

 12月5日、京畿道城南市の韓国学中央研究院で「文献研究方法論」の授業が行われた。韓国人教授が台湾出身の留学生に「韓国と台湾における教育の共通点」について尋ねると、流ちょうな韓国語で「義務教育の拡大以降、学校外教育費が増えたこと」と答えた。この授業では、漢字で書かれた史料を読みながら、韓国の近現代教育制度について研究する。しかし、8人の受講生のうち韓国人はわずか1人だけだ。残りは中国(台湾を含む)、モンゴル、ルーマニアの出身だ。パク・テグォン教授は「幼い頃に漢字を学んでいない韓国人学生よりも中国系や外国人の学生の方が『漢字の史料』に精通している」とし「留学生が韓国の歴史資料の翻訳を担当することもある」と話す。

 韓国学中央研究院(大学院)は、韓国学研究の「本山」と呼ばれている。ところが、今年の修士・博士課程の学生のうち、韓国人は114人、外国人留学生は93人だ。「韓流」が世界的注目を集め、「Kポップ」など大衆文化を超えて「韓国学」に関心を持つ外国人が大幅に増加したのだ。2000年代初めまで韓国学中央研究院における留学生の人数はそれほど多くなかった。パク・テグォン教授は「2010年代から外国人留学生が急増していたが、今では韓国人学生よりも留学生の方が多く参加する授業もかなりある」という。現在25カ国からの留学生が同校で学んでいるが、中でも中国やベトナム、トルコからの留学生が多い。

 研究院は、海外からの留学生をさらに受け入れるため、新たに寮を2棟建設している。1年に韓国人学生60人と留学生50-60人(定員外)を選抜しているが、寮が完成すれば留学生の人数はさらに増えるという。昨年、韓国学大学院に志願した留学生は281人にまで増えた。現在、研究院では人文学、文化芸術学、社会科学、グローバル韓国学の4学部に16専攻を置いている。授業はほとんど韓国語で行われ、修士・博士論文も韓国語で作成する。

 最近、研究院に入学してきた留学生たちは、自国に戻って韓国学や韓国語を教えるようになるケースが多い。東欧など多くの国の大学が韓国学と韓国語の授業を増やしているためだ。ルーマニア出身で博士課程に在籍するアンドレアさん(26)は「今ルーマニアでは中国語よりも韓国語の人気の方が高く、韓国語学科の競争率も上昇してきている」とし「教育学専攻だが博士号を取った後、学生たちを教えるのが目標」と笑みを浮かべる。研究院で学位を取得した留学生の3分の1が本国に戻って教授になるという。韓国国内の企業に就職するケースも少なくない。研究院の留学生は入学金を免除され、成績が良ければ毎月80万ウォン(約8万8000円)の奨学金も受け取れる。優秀な留学生の数が増えれば増えるほど「韓国学拡散」という研究院の設立目的にも合致する。

 教育部(日本の省庁に当たる)は、修士・博士クラスの海外留学生の誘致をさらに増やす計画だ。教育部の資料によると、OECD(経済協力開発機構)諸国からの留学生の占める割合は、修士が14.3%、博士が24.3%だが、韓国人の学生は修士が10.6%、博士が16.7%にとどまっている。各大学が授業料収入のため、海外留学生の募集に熱を上げるだけで、優秀な人材の誘致はおろそかになっていると指摘する声が上がっている。韓国が修士・博士クラスの海外人材を増やすためには、永住権の取得を容易にする必要性がある。漢陽大学のペ・ヨンチャン教授は「最近ソウルの大学でも修士・博士課程に在籍する留学生が大幅に増えたものの、永住権の取得と就職における困難から、相当数が韓国を離れている」とし「低出生問題に対応していく次元でも、優秀な留学生の誘致に目を向けなければならない」と話した。

■韓国学中央研究院とは

 故・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の指示で1978年に「韓国精神文化研究院」として設立された研究教育機関。2005年に現在の名前に名称が変更された。「世界と共にする韓国学の本山」をスローガンに韓国文化研究、古典資料の保存と翻訳、韓国学交流や拡散事業を進めている。

ユン・サンジン記者

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