▲イラスト=UTOIMAGE

 日本では少子化対策として2025年度から3人以上の子どもがいる多子世帯で、子ども全員に大学授業料などを無償化することにした。子どもが3人の場合、3人目だけでなく1人目・2人目の大学授業料も全て免除するということだ。日本政府は0歳から高校生まで直接現金で支給する児童手当も増額し、育児休業を取る夫婦の支援にも来年から年間7000億-8000億円を投入することを決めている。

 日本は昨年の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数)が1.26人で、韓国(0.78人)より状況がいい。それにもかかわらず、積極的に少子化に対応し、予算を投入しているのだ。日本政府は「次元の異なる少子化対策」という名の政策で、年間3兆5000億円という大規模な資金を投入すると今年発表した。人口減少に歯止めをかけるため、可能な限りの手段を講じようということだ。税金はこういうことに使わなければならないものだ。

 少子化に対して危機感を抱き、破格の対策を急いで打ち出さなければならないのは、日本よりも韓国の方だ。「今の韓国の人口減少は中世ヨーロッパの黒死病(ペスト)流行時よりひどい」という話まである。韓国にも多子世帯の子どもに対して大学授業料を支援する制度があるが、世帯所得や支援額に制限があり、少子化克服という面で効果を上げるのには限界がある。児童手当も日本では高校生まで支給するのに対し、韓国は満8歳未満の児童にだけ支給している。韓国の方が差し迫った状況にあり、出産・育児にかかる経済的問題は社会が負担しようという共感も広がっているものの、財源が不足していて運用に制限がかかっている制度は一つや二つではない。このため、なかなか少子化傾向を変えるきっかけが作れずにいる。

 財源が足りないのは、政府と政界が得票につながることにばかり国民の税金を湯水のごとく使っているためだ。費用便益比が0.483に過ぎないのにもかかわらず、11兆ウォン(約1兆2100億円)かかる月光高速鉄道、13兆ウォンかかる加徳島新空港建設、10年間で1兆6000億ウォンかかる韓国エネルギー工科大学設立・運営などにお金を使い、重要度も緊急度も高い国家的課題に十分な予算を投入できないのだ。毎年数十兆ウォンの予算がつぎ込まれている地方教育交付金、年間5兆1000億ウォンかかる兵士の月給引き上げなど、放漫財政の事例は計り知れないほどだ。このような予算をいくつか転用するだけでも、資金不足で推進がはかどらない少子化対策は著しく減ることだろう。

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