事件・事故
「子どもがもっと欲しくて」…代理母3人に子ども産ませ実子にした韓国60代実業家を立件
出生届が出されていない子どもに対する全数調査の過程で、60代の実業家が代理母3人に1人ずつ子どもを産ませ、3人の子を実子として育てていたことが分かった。この実業家は警察の事情聴取に対し「もっと子どもが欲しかったので、ブローカーを通じてこうした方法を取った」と話した。
京畿南部警察庁の女性青少年課は6日、児童福祉法違反(児童売買)の疑いで、実業家のA容疑者、30代の代理母B容疑者、ブローカー2人の計4人を立件し、取り調べを進めていると発表した。別の代理母2人についても管轄の警察署が捜査を進めている。
警察は今年7月、平沢市に住むB容疑者が2016年に出産した子どもについて、生死を調査していた際、「カネをやると提案されて代理母として男児を出産し、(ブローカーに)渡した。病院に(自分の)卵子を提供して受精した」との供述を確保した。警察は追跡調査の末にA容疑者を突き止め、DNA検査でA容疑者が父親であることを確認した。また、A容疑者がこの子どもを含め、別の代理母2人にそれぞれ1人ずつ子どもを産ませて実子として戸籍登録し、子どもを育てていることも確認した。
警察によると、A容疑者は2015年ごろ、知人から50代の女性ブローカーを紹介された。この女性はインターネットの「不妊コミュニティーサイト」などを通じて代理母を確保し、病院側の支援を受けて受精から着床、妊娠、出産まで進める専門ブローカーだった。
こうしてつながった代理母3人は、2016-17年に子どもを1人ずつ出産。仁川地域に住む30代の代理母は、釜山市内の産婦人科で第三者の卵子を使った受精卵の移植を受けたと供述しているという。代理母たちは、出産費や生活費などの名目で1人5000万ウォン(約550万円)を受け取っていたことが分かった。16年に生まれた子ども2人は約1カ月違いで誕生していたが、A容疑者は双子として出生届を出したという。
相当な資産を保有する実業家のA容疑者には、既に成長した3人の子どもがいることが分かった。A容疑者は警察に対し「子どもをもっと育てたくて、妻の同意を得て代理母に出産を依頼した」として「(既存の)子どもたちとの将来的な関係を考慮し、養子という選択はしなかった」と話しているという。警察の関係者は「A容疑者の実子として登録された子どもたちは、健康に育っていることが確認された」と説明した。
警察の関係者は「容疑者らに、生命倫理および安全に関する法律違反容疑の適用を検討したが、公訴時効(5年)が過ぎているため、児童売買容疑を適用した」と話した。生命倫理法は、金銭や反対給付を条件に胚芽・卵子・精子を提供・利用したり、こうした行為を勧誘・斡旋したりした場合に3年以下の懲役刑に処せられると規定している。
クォン・サンウン記者