▲イラスト=イ・チョルウォン

 韓国疾病管理庁(疾病庁)による新生児資料のずさんな管理実態が6日までに明らかになった。新生児情報に、1人の女性が子どもを100人産んだなどと記録されていたのだ。疾病庁は2010年から、赤ちゃんが生まれた病院から生年月日や性別などが入った臨時の新生児番号の報告を受けていた。疾病庁はこの情報を内部の電算システムに保存して管理している。疾病庁の業務指針では、報告のあった新生児について、実際に出生届が出されたかどうかについても確認することになっている。

 しかし、保健福祉部(省に相当)が最近、疾病庁の新生児情報を調査したところ、1人の女性が子どもを数十人から最大で100人以上出産したと記録されている資料が大量に見つかったという。「100人出産した女性」は実際の産婦ではなく、児童養護施設の院長などだったという。ソウル市内の児童保護施設の関係者は「いい加減な新生児情報がこれまで修正されずに放置されていたということは、疾病庁が新生児情報を管理しておらず、新生児の出生届の提出状況についてもきちんと確認していなかったという意味だ」として「職務放棄だ」と指摘した。政府内部でも「出生届が出ておらず、法的な番号が付与されていない多数の『未登録児童』を量産してしまう構造だった」という声が聞かれる。

 監査院は今年6月「2015-22年生まれの子どものうち、臨時新生児番号があるのに住民登録番号のない子どもが2123人に上る」という監査結果を発表した。病院で生まれたものの親が出生届を出さなかったために、どこで何をしているのか把握できない未登録児童が2023人に達するというわけだ。未登録児童は法的番号がなく福祉の恩恵を受けられず、犯罪の標的にもされやすい。実際にこの2123人の子どもの中には、京畿道水原市で両親に殺害されて自宅冷蔵庫の中から発見された子ども、慶尚南道巨済市で死亡して山林に遺棄された子どもなどが含まれていた。

 こうした事態を受け、保健福祉部は今年10月からようやく監視院の監査期間(15-22年生まれ)より前の10-14年生まれの子どものうち、臨時新生児番号だけが残っていて住民登録番号のない子どもの実態確認に着手した。その結果、病院で生まれて臨時新生児番号はあるものの、出生届が出ておらず住民登録番号のない未登録児童が9603人に達することを確認した。監査院の調査期間(8年)より3年短いにもかかわらず、未登録児童の数は4.5倍にも達した。

 保健福祉部は直ちにこの9603人の所在と生死を確認する全数調査に乗り出したが、この直後に疾病庁の資料から「100人出産した女性」「数十人出産した女性」などの記録を発見したという。政府の内外では「総体的に管理がずさんだった」「死亡した児童が多数出てくる可能性がある」との話が出ている。監査院の監査期間中に見つかった未登録児童のうち死亡者(249人)は11.7%だった。死亡者の割合がこれとほぼ同じと仮定すると、今回の調査では約1100人の死亡者が出てくる可能性があるわけだ。疾病庁の関係者は「一部に不正確な新生児資料があったことは事実」としながらも「まもなく政府の全数調査の結果が発表されるだろう」と述べるにとどめた。

チョ・ベッコン記者

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