▲サムスングループの故・李健煕(イ・ゴンヒ)会長が国に寄贈した朝鮮王朝時代後期の画家・謙斉鄭鄯(チョン・ソン)の「仁王霽色図」(国宝第216号)/ニュース1

 サムスングループの故・李健煕(イ・ゴンヒ)会長が所有し遺族が2021年に国立中央博物館に寄贈した国宝「仁王霽(せい)色図」の返還を求め、ある書道家の子孫が訴えを起こしたが、裁判長はこの訴えを却下した。却下とは訴訟や請求の要件が満たされていないとして審理が行われる前に裁判を終わらせることを言う。

 ソウル中央地裁民事31部(キム・サンウ裁判長)は7日、書道家の故・孫在馨(ソン・ジェヒョン)氏の孫がサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長、ホテル新羅の李富真(イ・ブジン)社長、サムスン福祉財団の李叙顕(イ・ソヒョン)理事長を相手取り起こした所有権確認訴訟を却下した。

 裁判長は却下の理由について「原告には所有権確認訴訟を起こしたことで得られる利益がないため却下する」と説明した。原告の主張通り仁王霽色図の所有権が本人にあるのであれば、大韓民国あるいはサムスン創業家に対して返還を求める訴訟を起こすべきとの判断だ。

 原告は昨年4月「祖父の孫在馨が所有していた仁王霽色図が1970年代に不当にサムスン創業家に渡った」と主張し、所有権の確認を求める訴えを起こした。

 原告は自らの父である中央大学(韓国)のソン・ヨン名誉教授が祖父の指示でサムスングループの故イ・ビョンチョル会長から金を借りた際、仁王霽色図を預けたと主張している。

 仁王霽色図の保管証は自宅に置いてあったが、1975年に祖父が病で倒れた際に2人の叔父がサムスン側に保管証を引き渡したか、あるいは破棄したと推測しているという。

 これに対してサムスン側は「原告の主張は根拠がない」と反論している。仁王霽色図は李健煕会長と妻の洪羅喜(ホン・ラヒ)元サムスン美術館リウム館長夫妻が最初に収集した作品とされている。李健煕会長が2020年に死去した際に遺族は仁王霽色図を含む2万3000点以上の美術品を国に寄贈した。

イ・ヒョンスン記者

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