▲2016年1月10日にソウル市鍾路区の世宗文化会館で行われた国民の党(仮称)結党発起人大会/朝鮮DB

 過去に韓国政界では総選挙や大統領選といった大きな選挙を前に、ほぼ毎回「二大政党の構図を打破し、政治変化を主導する」という第3極の新党論が噴出した。政界に対する国民の不満が大きいほど、既存の二大政党に挑戦するという新党は大きな可能性を持つと考えられた。中には一部の成功した事例もあったが、現在韓国政界が国民の力と共に民主党に二分されている構図からも分かるように、新党の多くは跡形もなく歴史の中に消えていった。一時的に関心を集め、議論の段階でうやむやになったケースもあった。

 専門家は新党の成功条件として、▲二大政党に対する国民的疲労感▲大統領選候補並みの求心力▲強固な地域基盤▲斬新な政治勢力の参加--などを挙げる。しかし、そうした条件を全て満たすことは容易ではなく、満たせたとしても既存の二大政党が選挙を前に刷新競争を始めると、新党の生存空間は限られたものにならざるを得ない。 

 近年の総選挙で「二大政党打破」を掲げて登場した新党のうち、院内交渉団体(20議席以上)としての条件を満たし、比較的成功したと評されたのは、1992年総選挙で故鄭周永(チョン・ジュヨン)現代グループ会長が率いた統一国民党(31議席)、96年総選挙で故金鍾泌(キム・ジョンピル)元首相が率いた自由民主連合(50議席)、2016年総選挙で安哲秀(アン・チョルス)国会議員が率いた国民の党(38議席)ぐらいだ。

 いずれも看板となる大統領候補を中心として、湖南(全羅道)、忠清道など強固な地域基盤を備えているという共通点があった。しかし、第3勢力として評価されていた新党でさえ、事実上の個人技で党を率いた大統領候補たちが大統領選で落選すると、やがて消滅した。

 やはり第3勢力の候補として大統領選に挑戦した文国現(ムン・グクヒョン)代表の創造韓国党が08年総選挙で3議席にとどまるなど、ある程度の「政治的大物」が党の看板を務めない限り、新党の成功可能性はより低くなる。1992年大統領選に出馬した朴燦鐘(パク・チャンジョン)氏、97年大統領選に出馬した李仁済(イ・インジェ)氏はいずれも第3勢力として旋風を巻き起こしたが、斬新な政治勢力の結集に失敗し、彼らが結党した「大統領選用新党」は全て既存政党に吸収された。

 最近最も成功したとされる国民の党も、安哲秀氏が2017年大統領選で敗れて以降、劉承旼(ユ・スンミン)元議員による非朴槿恵(パク・クンヘ)系新党である正しい政党と合併し、正しい未来党を結成したが、結局は二大勢力に分かれた国内政治の現実に根を下ろすことができず、既存政党に統合された。韓国政治史で永続性を保って安定的に運営された第3の政党はまだない。

 このため、専門家らは来年の総選挙を控え、李俊錫(イ・ジュンソク)国民の力元代表、琴泰燮(クム・テソプ)元国会議員、梁香子(ヤン・ヒャンジャ)国会議員(韓国の希望)らを中心に展開される新党結成の動きについても、見通しは不透明だとみている。国民の力、民主党など既存の二大政党に対する嫌悪感情は広がっているが、新党を主導する人物は強固な地域基盤を備えた有力な大統領選候補でもなく、支持層も特定世代に限られているため、新党に参加する斬新で象徴的な人物も見えてこない。政界関係者は「口では二大政党の弊害を叫ぶが、結局は両党で公認を受けられずに追い出された政治家が自分たちの国会入りだけのために新党を結成するのではないかと疑っている国民も多い」と話した。

 二大政党政治の失敗ムードの中で新党推進の動きが出ても、既存政党が選挙を控えて刷新に動けば、第3勢力の新党は立つ瀬がなくなるとの指摘もある。仁川大のイ・ジュンハン教授は「来年の総選挙を控え、さまざまな新党が発足したとしても、国民の力が最近金浦市のソウル市編入といった攻撃的な公約を打ち出すなど、既存政党が刷新の動きを見せれば、新党の破壊力は限られたものとならざるを得ない」と話した。

 一方、政界が旧態依然であれば、選挙の度に新党論は噴出し続けるとの見方もある。政治コンサルタントのパク・ソンミン氏は「李俊錫新党が結成されたとしても、国民の力の現在の親尹錫悦(ユン・ソンニョル)指導部が党をまともに刷新できるかは疑問だ」とし、「前回の大統領選で尹錫悦大統領を選択した『中道・保守同盟』を再構築するには、結局尹大統領の決断が重要だ」と指摘した。

朴国熙(パク・ククヒ)記者、元先宇(ウォン・ソンウ)記者

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