釜山の自動車部品めっき業者A社は2017年から6年間「限界企業」のままだ。別名「ゾンビ企業」とも呼ばれる。限界企業とは3年間事業をして稼いだ営業利益で借入金の元金どころか利払いも賄えない企業だ。A社の経営は16年から傾き始め、毎年30億ウォン以上の赤字を出している。

 A社がこうした状況でも持ちこたえることができたのは、コロナ期間続いた政府機関の低利融資と銀行の返済猶予のおかげだった。当時政府はコロナで直接・間接の被害を受けた中小企業と零細事業者に対する融資の返済期限を繰り延べ、元利償還を数回猶予した。また、低金利の融資商品も増やした。このため、A社は中小ベンチャー企業振興公団と主要取引銀行から融資を受け、3%台の低い利子を払うことで耐えてきた。

 しかし、元金償還猶予が昨年末に終了し、さらに金利が大幅に上昇したことで状況が変わった。A社の負債総額は昨年末現在で650億ウォンに迫り、現在1カ月に利子だけで2億~5億ウォンの資金が流出している。同社関係者は「3%台だった貸出金利は現在8%を超える状況だ」と話した。

■コロナ当時より増えた法人破産…リーマンショックの4倍

 今年に入って廃業を決めた企業と自営業者は、2009年の世界的な金融危機やコロナ期間中よりも多い。大法院によれば、今年1~8月の個人再生は8万748件で、前年同期(5万7291件)に比べ40.9%増えた。個人事業者が大半を占める自営業者が債務再編のために法定管理を申請すると、個人再生に分類される。

 中小企業も状況は似ている。中小企業の法定管理手続きである法人再生は昨年の398件から今年は652件へと63.8%増加。法人破産は昨年の652件から今年の1034件へと58.6%増えた。20年に受理された法人再生は582件、法人破産は711件だった。

 こうした統計数値は「リーマンショック」などで世界的な金融危機が起きた2009年を上回る数値だ。法人破産は09年に通年で226件だった。コロナが終わり、エンデミック(日常的に流行する感染症)への移行が宣言された今年は8月までの時点で09年通年の4倍に達している。個人再生も09年通年で5万4605件だったが、今年は8月までに8万件を超えている。

 「連鎖倒産」「連鎖廃業」の兆しが見え始めたのは、昨年下半期から金利が大幅に上昇したことに加え、コロナ期間(20~22年)に続いた政府・金融機関の各種支援が終了したことで負担が一気に集中したためだ。

 当時政府は低利融資に加え、融資の満期延長、元利金償還猶予措置を実施した。20年4月に始まった措置は今年9月まで計5回延長された。金融委員会は融資の満期を25年9月まで再延長したが、元利償還はこれ以上先送りできず、40~50カ月かけて分割償還を求めることになった。金利が上昇した状況で元利償還が始まったことで、低利融資による負担が企業にブーメランのように返ってきている。

 自営業者はコロナ期間の低利融資について、「当時は融資を受けない人がバカだ」と話していた。20年かから21年にかけ、政府の政策資金融資13件を含め計3億ウォンを借り入れたフィットネスジム経営者のCさん(44)は利払いなどに充てるために仕事を3つ掛け持ちしている。Cさんは「先月の返済額だけで元利合計で600万~700万ウォンだ」と話した。

■増え続ける限界企業

 限界企業の数が増え、企業全体に占める割合も高まっている。韓国銀行が昨年末、外部監査企業2万5135社を対象に調査した結果、限界企業は3903社で調査対象の15.5%を占めた。18年の3235社に比べ大幅に増えた。限界企業の割合は前年を0.6ポイント上回り、過去最高を記録した。

 限界企業による借入金も企業全体の借入金の17.1%で、20年(16%)に比べ1.1ポイント上昇した。このうち7年以上限界企業から脱却できない企業は903社に達した。長期限界企業の借金だけでも50兆ウォンを超える。中小ベンチャー企業研究院のノ・ミンソン研究委員は「コロナ時代に企業を倒産させないことに集中した結果、自己再建能力を持たせる努力が相対的に不足していた」と話した。

イ・ギウ記者、カン・ダウン記者

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