経済総合
「仕事をやめられない高齢者」が生み出した韓国のOECD最低失業率…日本をも下回る結果に
韓国の失業率が「先進国クラブ」である経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最低だったことが分かった。韓国よりも先に少子化・高齢化になり、人手不足に陥っている日本の失業率より、韓国の失業率の方が低いのだ。60歳を超えても労働市場に追い立てられる「働くシルバー」が最近10年間で300万人急増した結果だ。
本紙が13日にOECD統計を分析した結果、今年8月の韓国の失業率は2.4%(季節調整値)で、8月の失業率統計が出ているOECD加盟国の中で最も低いことが確認された。米国(3.8%)やドイツ(3.0%)はもちろん、韓国と共に失業率が低めの日本(2.7%)やチェコ(2.5%)よりも低いのだ。専門家らは「低い失業率の裏には、年を取っても仕事をせざるを得ない韓国の高齢者たちの現実や、増えつつある公共型高齢者雇用事業などの『統計上の錯覚』がある」と分析した。
■60歳以上の雇用率47%…過去最高
他の先進国とは異なり、韓国の失業率を引き下げている要因は「働くシルバー」だ。60歳以上の就業者は2013年9月の347万1000人から今年9月には647万7000人へと、この10年間で300万6000人増えた。同期間、60歳以上の高齢層人口は853万7000人から1377万5000人へと523万8000人増加した。このため、全人口における就業者の割合を意味する60歳以上の雇用率は、10年前の40.7%から先月は47%へと急上昇した。60歳以上の雇用率は関連統計を作成した1982年以降、9月基準で過去最高値だ。
働く高齢層が増えているのは、老後の備えが足りないという現実と重なる。韓国の65歳以上の貧困率は37.6%(2021年基準)で、世界的にも最も高い水準だ。国策研究院の韓国開発研究院(KDI)は「所得と資産から診断した高齢者貧困の政策方向」と題した報告書で、「所得だけでなく不動産などの資産まで考慮しても、韓国の高齢者貧困率は国際的に見て最高水準だ」としている。韓国雇用情報院のチ・ウンジョン副研究員は「OECD加盟国における男性の公的年金の平均所得代替率は51.8%だが、韓国は31.2%にとどまる」「しかも、年金受給年齢も先送りされ続けているため、高齢層の生計費不足が深刻化し、労働して賃金を受け取るしかない構造になっている」と話す。
■税金を投入した雇用事業も失業率低下の一因
韓国の場合、他の国とは違い、実際の雇用率・失業率を完全に示せていない「統計上の錯覚」が多いという声もある。特に、毎年増えている公共型高齢者雇用事業が失業率を減らし、雇用率を引き上げる役割をしている。企画財政部によると、高齢者雇用は2018年の51万3000件から今年は88万3000件に増え、来年には103万件まで増加すると予想されている。KDIのイ・スンヒ副研究員は「(税金を投入した)公共型高齢者雇用事業は高齢者雇用率の統計数値を引き上げる大きな要因の一つだとみている」と語った。
公務員試験など、希望の職に就くために長い間、試験の準備をする若者が多いということも失業率が低く出る一因だ。若者たちは学業などで求職活動ができない時期は非経済活動人口に分類され、雇用率と失業率の統計から外される。だが、公務員試験に願書を出せば求職者に分類され、失業者統計に含まれるようになる。このため、公務員試験の願書受付時期によって青年失業者数が上下する。KDIのハン・ヨセフ労働市場研究チーム長は「青年雇用などに『統計上の錯覚』があると思われる」「韓国の失業率が低下したのは、新型コロナウイルス感染症の大流行以降、対面サービスが急増した影響もある。(この傾向が)持続可能なのか、さらに推移を見守らなければならないだろう」と分析している。
金成謨(キム・ソンモ)記者