▲今年8月、韓半島(朝鮮半島)を縦断した台風6号の影響で河川の堤防が流失し、浸水した大邱市軍威郡内の住宅。消防救助隊員がゴムボートで行方不明者の捜索作業を行っている。写真=聯合ニュース

 2020年、活発な梅雨前線の影響で韓国と日本に大規模な洪水被害が発生した。ところが、同じ水害を経験していながら、その後の両国における気象庁の防災対策は大幅に異なっていたことが分かった。日本が専門人員193人を新たに採用し、全国各地に配置した一方、韓国は従来の人員11人を増員することはなかった。「気候変動により気象災害がますますひどくなっている状況で、韓国の対応が生ぬるかったため、今年夏の洪水被害が十分に防げなかった」という指摘もある。

 与党・国民の力所属の李周桓(イ・ジュファン)議員が12日に韓国気象庁などから入手した資料によると、韓日の気象庁における防災専門人員の差は2020年夏を基点に大きく広がっていたことが分かったという。韓国気象庁は2018年から全国17広域市・道の自治体に専門人員を計11人配置している。気象業務経験のある元予報官や退役軍人を気象庁で「防災気象支援官」というポストに就かせ、地方自治体に派遣するという方式だ。これは、1自治体につき防災専門人員1人を下回る数字で、防災専門人員が1人もいない自治体もあるということになる。2020年の大規模洪水以降も防災気象支援官は増員されなかった。

 今年夏、洪水被害が大きかった忠清道地方と韓国南部地方は、12の自治体に対して専門人員が7人に過ぎない。忠清道地方2カ所(忠清南道・忠清北道)、嶺南地方3カ所(釜山市・大邱市・慶尚北道)、湖南地方2カ所(全羅南道・全羅北道)だ。京畿道は自主予算で運営中であり、慶尚南道・蔚山市・光州市・大田市・世宗市の5カ所は大雨の予報が出ても、防災対策樹立を助ける専門人員が一人もいない状況だ。いわば、防災に「穴」が開いている状態だということだ。

 一方、日本の気象庁は2020年、九州地方の大規模洪水や土砂崩れをきっかけに、防災気象組織を大々的に改編した。同年は九州北部に71日間、九州南部に60日間、雨が降り続けた。集中豪雨で1時間当たり最高98ミリメートル雨が降り、総降水量は1541.5ミリメートルを記録した。熊本県内の河川11カ所が氾濫し、家屋6000軒が浸水、65人が命を落とした。日本は「気象防災監」というポストを新設し、退職した予報官87人と気象予報士106人からなる専門人員193人を新たに選出、「気象防災アドバイザー」という職責で全国の自治体に配置した。このように、各地に布陣した防災専門家が自治体と協議し、大雨や台風が発生するたびに直ちに防災対策を打ち出している。現在、日本では災害の種類や規模により、少ない場合は1-2人、多ければ約1000人の公務員が気象災害に備えている。このため、「2020年と同じくらい大雨が降った今年の災害を最小限に抑えるのに役立った」と評価されているという。

 2020年の梅雨は韓国にも大きな被害をもたらした。韓国中部地方で54日間、南部地方で38日間という、過去最長となる雨を降らせた。梅雨期間中、洛東江に643-712ミリメートル、蟾津江に565.2ミリメートル、錦江に514-865ミリメートルの雨が降ったほか、蟾津江は8月7から8日までにさらに305.8ミリメートルの雨が降った。この大雨の影響で洛東江の陜川ダムと南江ダム、蟾津江の蟾津江ダム、錦江の竜潭ダムと大清ダムという5つのダムの下流・計158地区で洪水が発生した。しかしこの時、韓国政府は壊れてもいない堰(せき)の解体を決定するなど、常識的な防災対策を講じていなかった。

 前政権では公務員を13万人増やす一方で、予報官の増員は一人もしないなど、予報専門人員への投資もなかった。李周桓議員は「今年の猛暑・豪雨など、以前はなかった異常気象で多くの被害が発生しているだけに、各地域に合った気象情報の提供や現場対応がこれまでにないほど重要な時期だ」「韓国も専門性を持つ気象庁予報官を地方自治体に常時派遣し、各地域に合った防災・気象情報を提供しなければならない」と述べた。

パク・サンヒョン記者

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