【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の任洙ソク(イム・スソク)報道官は12日の定例会見で、杭州アジア大会の閉幕後、中国内で拘束されていた脱北者の強制送還が大規模に行われたとする報道を巡り、「報道についてはしっかりと認識している」とし、懸念の伝達や事実確認のために中国側と意思疎通していると明らかにした。

 任氏は「政府は海外に在留中の脱北者が自らの意思に反して強制送還されず、希望する場所に安全かつ迅速に行けるよう様々な機会を通じて中国側に協力要請を続けている」と強調した。

 また「韓中間の関連協議は最近も続いている」とし「今後も脱北者保護のために外交的努力を続けていく」と伝えた。

 外交部は前日、同問題について「該当報道に関して発表することはない」としていた。

 韓国メディアは前日、中国の遼寧省や吉林省で拘束されていた脱北者約600人が9日午後8時ごろ、遼寧省・丹東などから北朝鮮に強制送還されたとする韓国の民間団体「北韓正義連帯」の主張を報じた。

 北朝鮮の人権問題に取り組む同団体によると、脱北者の強制送還は8月末に始まり、当初はバス2台で約90人を北朝鮮に送ったが、杭州アジア大会の閉幕後には大規模に行われ、中国で拘束されていた脱北者計約2600人の強制送還が終了したという。

 韓国政府は問題提起や事実関係の確認とともに、中国の協力を引き出すための政策手段を講じている。

 中国で拘束されている脱北者が北朝鮮に送還されるという懸念は、北朝鮮が8月下旬に新型コロナウイルス感染拡大防止のための国境封鎖を解除し、海外に滞在する自国民の帰国を受け入れたことで高まっていた。

 国際社会では、脱北者に対して、難民申請者を迫害の危険のある母国に送還してはいけないという「ノン・ルフールマン原則」を適用すべきとする立場が多いが、中国は脱北者が難民ではなく国境を違法に越えてきた越境者であるとの立場を示している。

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