▲ソウル市江南区にある慶南銀行江南支店/ニュース1

 天下一横領大会、新記録更新!--。韓国金融監督院は9月20日、慶南銀行の不動産投資担当行員のL氏(50)が13年間で銀行の資金2988億ウォン(約332億円)を横領していたと発表した。それを受け、インターネット上にそんなコメントが書き込まれた。過去最高額だった。「新チャンピオン」慶南銀行に続いたのは、昨年2215億ウォン規模の横領があったオステムインプラント、ウリィ銀行(707億ウォン)、啓洋電機(246億ウォン)などだった。ランキングは真偽確認が必要だが、慶南銀での横領額が金融業界で過去最高であることだけは間違いない。

 慶南銀の昨年の当期純利益が2790億ウォンだった。同行が1年間に稼ぐ利益以上の金額をたった1人の行員が盗んだのだ。横領は77回にわたった。平均で2カ月に1回ずつ、1回当たり約39億ウォンを横領したことになる。小出しどころか、最初から蔵の中身を根こそぎ持っていくような手口だ。L氏は横領した資金で不動産や株式を購入したり、子どもを留学させたりしていたという。

 慶南銀は総資産が50兆ウォンに達する銀行だ。地方銀行では釜山銀、大邱銀に次ぐ3位だ。これほどの規模の銀行でありながら、13年間、行内のコンプライアンスは事実上機能していなかった。L氏は投資金融部に15年間勤務した。慶南銀よりはるかに小さい金融機関でも不正を恐れ、入れ替え人事を行って当然だ。しかし、慶南銀はそれを放置し、結果的にL氏は在任中の大半の時間で横領を働いた。

 事態が発覚すると、慶南銀は「L氏に代わる人材がいなかった」と釈明した。しかし、金融業界関係者は言い訳を聞いて鼻で笑った。ある業界関係者は「カネをかければ代わりはいくらでも採用できる。そういう意思があるかどうかだ」と切り捨てた。別の関係者は「銀行側がそう言うとすれば、組織ぐるみで関与しないかどうか、金融当局は細かくチェックすべきだと思う」と話した。弁解するにも言いようがあるだろう。

 慶南銀は横領の事実を把握してもいなかった。同行は今年6月、検察がL氏の別の犯罪容疑について捜査に着手したという事実を金融監督院に報告したという。金融監督院はそれを不審に思い、銀行側にL氏の監視を指示した。すると、L氏の横領容疑が発覚し、その後金融監督員が直接検査を行い、横領の全貌が明らかになった。検察の捜査と金融監督院の指示がなかったならば、L氏は今も横領を続けていたはずだ。

 ネットユーザーは「天下第一横領大会」のランキングを更新し、「慶南銀行スゴい」「レジェンドを打ち立てた」と皮肉たっぷりにコメントした。「wwww」という笑いマークも付けた。銀行から巨額の資金が簡単になくなるとはあまりにも非現実的で、むしろ笑いたくもなるのだろう。しかし、この笑いに込められた失望感は深い。銀行を信頼して資金を預けた顧客が横領のニュースをどう受け止めるか、慶南銀は骨身にしみるほど省みなければならない。

権純完(クォン・スンワン)記者

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