写真=UTOIMAGE

 一日に1回以上、砂糖が入ったドリンクを飲むと、閉経期の女性の肝臓がん発症率や慢性肝疾患の死亡率が目に見えて高くなるという研究結果が出た。

 ハーバード・メディカルスクールとボストンにあるブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究陣は、およそ9万8000人の閉経期の女性を対象にした長期コーホート追跡調査を実施した結果、一日に1杯以上加糖飲料を飲んだ女性の肝臓がん発症率が、1カ月に3杯以下の加糖飲料を飲んだ女性に比べ74%高いことが分かった。慢性肝疾患による死亡率は2.5倍高かった。

 研究陣は、50歳から79歳の更年期の女性9万8786人を対象に、平均20.9年の追跡観察を実施した。データは1993年から1998年まで、米国各地の医院クラスの病院など40の機関で女性の健康イニシアチブ事業に参加した女性たちから得た。

 追跡観察の期間中、参加者のうち207人が肝臓がんと診断され、148人が慢性肝疾患で死亡した。参加者全体のうち6.8%が一日に1杯以上、加糖飲料(フルーツジュース、炭酸飲料など)を3年以上持続的に飲んだと答えた。13.1%は人工甘味料を使用した加糖飲料を一日に1杯以上、3年以上にわたり持続的に飲んだと回答した。研究陣はこれらのデータを、1カ月に3回以下加糖飲料を飲んだと答えた参加者たちのデータと比較した。

 その結果、加糖飲料を絶えず飲み続けた人とそうではない人たちの肝臓がん発症率や肝疾患による死亡率に、はっきりと差が見られた。加糖飲料を飲み続けた人たちは、10万人年(person-years)分の18.0人が肝臓がんを発症したのに対し、加糖飲料をあまり飲まなかった人たちの中では10.3人が肝臓がんと診断された。加糖飲料を飲んだ場合、肝臓がんの発症率が74%高かったというわけだ。

 慢性肝疾患による死亡率の場合、さらに差が大きかった。加糖飲料を絶えず飲んでいた人の場合、10万人年分の17.7人が死亡した反面、加糖飲料をあまり飲まなかった集団は7.1人に過ぎなかった。

 研究陣は「今回の研究結果は、加糖飲料の摂取が肝臓がんや慢性肝疾患の発症率を確実に高めるという点を示している」とした上で「世界がん研究基金などは直接的な証拠不足により、加糖飲料の摂取ががんを誘発する原因だと結論付けられずにいるが、新たな事例が影響を及ぼすだろう」とコメントした。

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