最近の中国経済について、イエレン米財務長官は14日、「米国経済の危険要因」だと述べ、バイデン米大統領は10日、「爆発を待っている時限爆弾」だと表現した。米国と共に二大経済大国である中国経済が揺らぎ、全世界がざわつく中、当事国である中国は至って冷静だ。雇用、消費、生産、輸出、物価など主要経済指標が悪化の一途をたどる中、国内総生産(GDP)の25%を占める不動産市場も業界大手・碧桂園控股(カントリーガーデン・ホールディングス)のデフォルト(債務不履行)懸念で危険な状況にあるため、大幅な利下げというショック療法を講じるのではないかという市場予想に反し、利下げが小幅にとどまり、中国が模様見を決め込む背景に関心が集まっている。

 専門家は習近平体制の中国指導部に今は意図的に体質を改善する時期だという判断があると分析する。高度成長期の成長モデルから脱し、先進国型経済へと体質を改善するための過渡期にあるとの見方だ。ブルームバーグ電は21日、「習近平国家主席が前指導者の負債主導成長モデルから抜け出すことを願う」とし、「不動産投機と不透明な資金で進行される低収益事業に経済成長を依存する『中毒症状』を断ち切ろうとしている」と診断した。碧桂園発の不動産危機を巡る解決策が市場予想に反したことも同じ理由だ。冷え込んだ不動産市場をショック療法で直ちに蘇らせることはできるが、市場が再び過熱すれば、負債の時限爆弾が経済の足を引っ張る悪循環が繰り返されかねない。

 ハイ投資証券のアナリスト、パク・サンヒョン氏は「世界の金融市場は短期間に中国の負債リスクがある程度解消される方策を望んでいるが、中国という特殊性を考えると、ショック療法ではなく、漸進的な負債リスク管理策を選択するだろう」と予想した。7月24日、習近平国家主席が開いた会議で、中国共産党中央政治局は最近の経済難について「曲がりくねった前進の過程」と表現した。習近平政権は電気自動車、バッテリー、太陽光など先端産業の育成を骨子とする「高品質発展」モデルを守る計画だ。「新経済」とも呼ばれるこの分野は、今年上半期(1~6月)に前年同期比6.5%成長した。中国のGDPの17%を占めると推定される。

 中国の金融業界も中国特有の国家主導経済では「中国版リーマンショック」が起きる可能性は低いと楽観している。たとえ碧桂園ののデフォルトが現実となっても、いざとなれば国営企業が買収すればよいからだ。中国金融業界関係者は「中国経済が困難な状況になったのは事実だが、依然として政府の統制下にある」と話した。シンクタンクである上海高級金融学院(SAIF)の朱寧教授はブルームバーグ通信に「中国の政策決定者は経済の現実が悪化すれば、(まだ切っていない)大規模な財政赤字を甘受することができる」と分析した。

 ただ、世界最大の需要を抱え、一時は「世界の工場」と呼ばれた中国による漸進的な対応は危ういとの見方も少なくない。パク氏は「中国が漸進的な負債管理策を選択すれば、成長率鈍化につながる可能性が高い」と述べた。

北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員

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