▲中国ロケット軍の極超音速弾道ミサイル「東風17」/朝鮮日報DB

 中国の習近平・国家主席が戦略核ミサイルを運用するロケット軍のトップと政治委員を同時に交代させた。先日ロケット軍幹部ら10人以上が公式の場から姿を消したことに続く異例の人事とされている。一部では先月25日に解任された秦剛元外相の「スパイ説」で名前が上がったロケット軍司令官が交代となったことに注目している。

 1日付の中国国営新華社通信によると、習首席は先月31日に北京で人民解放軍上将(大将)進級式を開催し、王厚斌・元海軍副司令官をロケット軍司令官に、南部戦区出身の徐西盛氏をロケット軍政治委員に任命した。政治委員は軍で党を代表する立場となる。王厚斌氏と徐西盛氏はいずれもロケット軍での勤務経験がない「外部人事」で、今回中将から上将に昇格した。

 かつてのロケット軍幹部らは最近公式の場から相次いで姿を消している。英フィナンシャル・タイムズは同日解任となった李玉超・元ロケット軍司令官をはじめ劉光斌・現副司令官、張振中・元副司令官ら10人以上の前職・現職幹部らについて「所在が分からない状態」とした上で「軍中央規律委員会(取り締まり機関)で取り調べを受けているようだ」との見方を示した。先月死亡した呉国華・元ロケット軍副司令官については「自殺した」とも報じられている。

 ロケット軍に対する大々的な粛正は内部の腐敗や機密の流出、派閥組織などが理由とも考えられる。一部では秦剛氏失脚と関連があるとの見方もある。昨年李玉超氏の息子を通じてロケット軍に関する情報が米国に流れ、その過程で当時駐米中国大使だった秦剛氏が関係したとの見方だ。香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は「過去に周永康・元中央政治局常務委員(最高指導部)が腐敗の容疑で落馬した際にも、その数カ月後の2014年12月に中国人民武装警察部隊で幹部らが同時に交代する人事があった」と伝えた。フィナンシャル・タイムズは「ロケット軍に対する大規模な粛正は習主席が中国軍の統制権強化に失敗したことを示している」との見方を示した。

北京=イ・ボルチャン特派員

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