経済総合
二次電池・自動車でも技術奪取を企てる中国、韓国が流出阻止した被害だけで25兆ウォン
中国による技術奪取の企ては半導体分野に限らない。造船・自動車・ディスプレーなど韓国が世界最高レベルの技術力を持つ分野にはどれにも触手を伸ばした。
韓国の情報機関・国家情報院によると、韓国で最近5年間で摘発された産業技術の海外流出事件は93件だが、このうち4分の1に当たる24件は半導体、残る69件はディスプレー、二次電池、自動車、情報通信、造船などさまざまだった。同じ期間に産業技術の海外流出を阻止し、防ぐことができた被害金額は25兆ウォン(約2兆7600億円)に上る。
特に2000年代に入り、世界首位に浮上した韓国の造船業は、中国による技術奪取の企てが目立った代表的業種だ。2020年に退職後、造船技術のコンサルティング業者を設立したH造船出身のI氏は、不正入手した高付加価値船舶関連の重要技術資料を中国のライバル企業に漏らしたとして、国家情報院に摘発され、21年に産業技術保護法違反の罪で起訴された。それに先立ち、大宇造船海洋(現ハンファオーシャン)を14年に退社したL氏は、中国の造船所に顧問として移籍し、船体の組立工程技術を外付けハードディスクやノートパソコンに保存して持ち出した容疑で16年に検挙された。
ディスプレー分野でも、精密素材業者に20年以上勤めたA氏が中国のライバル企業に転職し、企業秘密である基板ガラス設計図面を盗み出したとして検挙され、昨年11月に懲役2年の判決を受けた。18年には韓国の大企業とフレキシブルOLED(有機発光ダイオード)パネルの製造設備を共同開発した下請け中小企業が機密保持協約に違反し、中国業者に同じ製品を納品して摘発された。
自動車業界では15年、現代自動車と起亜の設計図面をはじめとする企業秘密130件余りが中国の自動車メーカーの設計を担当した韓国企業に流出し摘発された。当時問題の資料が中国企業の新車開発に使われたとすれば、被害額は3年間で700億ウォン以上に達するとの試算もある。自動運転分野でも韓国科学技術院(KAIST)の教授が重要技術である LiDAR(ライダー)に関する資料を中国の大学研究員に渡し、20年に起訴された。韓国経済研究院の趙慶ヨプ(チョ·ギョンヨプ)公共政策研究室長は「第4次産業革命を迎え、銃口を向ける戦争よりもさらに致命的なのは国家の重要技術の流出だ。徹底した管理と防止が求められる」と話した。
趙宰希(チョ・ジェヒ)記者