国際総合
中国で改正反スパイ法施行、米国務省が渡航再考を勧告「恣意的な拘禁や出国禁止の恐れ」
米国務省が「中国本土、香港、マカオで恣意(しい)的に拘禁される可能性がある」との懸念から、米国市民に対しこれらの地域への旅行を再考するよう勧告した。中国が反スパイ法を改正・強化し、対外関係法により外国人が中国当局に拘禁される恐れが強くなったことへの懸念がその理由だ。
米国務省は3日にホームページで「中国政府は公正かつ透明な手続きなしに現地の法律を恣意的に執行している。これには米国市民や他国の国民に対する出国禁止なども含まれている」と指摘した。さらに「国務省は中国で米国国民が不当に拘禁されるリスクがあると判断している」「中国に旅行あるいは居住する米国市民は自らにかけられた犯罪容疑に関する情報もなく、領事サービスも受けられず、拘禁される恐れがある」「企業関係者、元政府関係者、研究者、中国国民の親戚、メディア関係者などの外国人が国家保安法違反容疑で尋問を受け拘禁されている」「中国政府は中国に住み働く米国市民を尋問、拘禁し追放した」などと指摘した。
また、広範囲な文書やデータなどを国家機密と見なして外国人をスパイ容疑で起訴し、あるいは中国政府や香港・マカオを批判する電子メッセージを発信した場合に処罰を受ける可能性などにも言及した。
中国駐在のニコラス・バーンズ米国大使は先月、反スパイ法について「合作(共同出資、協力)投資を検討するため実査データを収集する活動もスパイ行為の定義に含まれた。データを日常的に使用する研究者、学生、科学者などもリスクに直面する恐れがある」と指摘した。先月18-19日に北京を訪問したブリンケン国務長官も「中国により不当に拘禁、あるいは出国が禁止された米国市民に関する事件を解決することが米国にとって最優先の課題だ」と述べた。
ワシントン=イ・ミンソク特派員