尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は13日、ケイ海明・駐韓中国大使が先日メディアの前で発言した内容について「ケイ大使の態度を見ると、相互尊重や友好増進、共同の利益追求という外交官としての態度があるか疑わしい」との考えを示したという。尹大統領はケイ大使の言動について「旧韓末に朝鮮総督のように行動した清の袁世凱を連想させる」という街中の雰囲気にも言及したようだ。これに対して中国政府は13日もケイ大使を擁護し、相応の対応を求める韓国政府に対して遺憾の意を表明した。

 尹大統領は13日に非公開の国務会議(閣議に相当)を主催し、その席で上記のように述べた上で「ケイ大使の不適切な身の処し方に韓国国民は不快感を持っている」と指摘したという。複数の出席者が伝えた。ケイ大使は今月8日、韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表を大使公邸に招き、夕食会の席で「中国の敗北に賭ける人は後から必ず後悔する」と述べたが、尹大統領はこの発言を念頭に置いたとみられる。

 尹大統領がケイ大使の発言を「不適切」と指摘し「国民は不快感を持っている」と述べた理由は、ケイ大使の発言を「駐在国の国民感情を刺激する主権侵害的な発言」と判断したためと考えられる。尹大統領は「街中には『21歳だった袁世凱のときと同じような態度が思い起こされる』との声が出ている」という趣旨の発言も行ったという。ケイ大使を旧韓末に駐在し傲慢(ごうまん)な行動で恨みを買った袁世凱に例えたのだ。

 尹大統領はさらに一部の政界関係者や企業関係者がケイ大使と面会して話を聞いていることにも批判的だったという。尹大統領は「(韓中間における)相互主義に見合った制度改善に向け努力してほしい」と指示した。ある出席者によると、尹大統領は国務委員らに対し「強大国の大使であっても、駐在国を尊重する姿勢から外れれば、国民はこれを容認しないことに留意した上で行動すべきだ」と伝えたかったようだという。

 韓国大統領室のある幹部は13日、ケイ大使を巡る問題について「中国側がこの問題について深く考え、韓国側(の求め)に適切な対応を取ることを待っている状況だ」と明らかにした。この幹部はブリーフィングで「韓国にいる最高位の外交官として、善隣友好関係にまい進し、問題が感じられた場合でもそれを非公開で解決する方向で協議し、国民の前では常に友好的な関係を築くことが外交官の役割だ」とした上で上記のように述べた。

 これに対して中国外交部(省に相当、以下同じ)の汪文斌報道官は13日の定例ブリーフィングで、韓国政府がケイ大使に対する「適切な対応」を要求したことに関する質問を受けた。しかし汪報道官はケイ大使を巡る韓国メディアの報道を逆に問題視し、韓国政府の求めを事実上拒否する考えを明確にした。汪報道官は「韓国側からの関連する立場表明(ケイ大使への対応要求)と共に、一部のメディアがケイ大使個人について事実と合致しない、しかも人身攻撃のような報道を行ったことを確認した。これは遺憾なことだ」と述べた。前日に韓国のあるメディアが「今年5月にケイ大使は妻と共に鬱陵島のある高級リゾートで韓国企業から無料の宿泊の便宜を受けた」などの疑惑を報じたことについて語ったようだ。

 汪報道官はさらに「ケイ大使が韓国の各界各層の関係者と幅広く接触し、交流することは彼の職務であり、その目的は理解を増進させ、協力を促進し、中韓関係の発展を維持し推進することだ。騒ぎたてて大げさな話題にすべきではない」と指摘した。これに先立ち韓国外交部のイム・スソク報道官は前日のブリーフィングで「駐韓大使が政界関係者と接触することを問題視しているわけではない」「問題は駐韓大使がメディアに伝わるのの明らかな状況で、事実と相反する内容に基づき、意図してわが国(韓国)政府の政策を正面から批判したことだ」と述べた。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者、北京=イ・ボルチャン特派員

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