経済総合
離発着ゼロ、またも「幽霊空港」化する襄陽空港…毎年100億ウォンの損失
5月25日、韓国北東部・江原道の襄陽空港の2500メートル滑走路は航空機の姿がなく、がらんとしていた。昨年38万人が利用した出入国審査場は照明が消え、ドアが閉まっていた。職員が消えたチェックインカウンターには「襄陽~済州便運航中断」を知らせる案内板が置かれていた。襄陽空港を拠点に済州線を1日2往復で運航してきたフライ江原が経営難で運航を中断したことで、襄陽空港は再び機能中断状態に陥ったのだ。
格安航空会社(LCC)のフライ江原は、中国人観光客を攻撃的に誘致することを掲げ、2019年に航空業界に参入した。しかし、コロナで国際線運航が2年3カ月ストップし直撃を受けた。航空機リース料などが雪だるま式に膨らみ、営業赤字が400億ウォン(約42億円)を超えると、先月23日に裁判所に民事再生手続きを申し立てた。航空業界は今回の運航中断が長期化するとみている。襄陽空港の「幽霊空港」化が繰り返される可能性が高まった。
襄陽空港は2008年11月から9カ月間、利用客が一人もいなかった。大韓航空が原油価格上昇を理由に金海~襄陽線の運航を中断したためだ。襄陽空港は毎年100億ウォンを超える損失を出している。だが、国費3500億ウォンを投入して建てた国際空港を直ちに閉鎖することもできず、底が抜けたかめに水を注ぐ状況が続いている。世宗大経営学部の黃庸植(ファン・ヨンシク)教授は「選挙のたびに登場する『空港中毒』の副作用だ」と指摘した。総選挙や大統領選の際に地域票を狙った「地方空港」建設公約が登場し、建設してみたところ、結局は需要不足で「金食い虫」に転落しているというのだ。
襄陽空港は1996年の総選挙を控え、「小規模な江陵・束草空港に代わる国際空港を建設が必要だ」という地域政治の論理で事業がスタートした。当時「江原・嶺東圏の航空需要が年間30万人余りにすぎず、事業性に問題がある」という分析は無視された。襄陽空港は2002年4月開港。248万平方メートルの敷地に年間で国内・国際線合わせ4万3000便が離発着し、300万人以上の乗客を処理できる規模を備えた。
しかし、経済性を無視した結果は悲惨だった。滑走路の利用率は毎年1%前後にとどまった。昨年は国内線と国際線約2900便が運航し、過去最大を記録したにもかかわらず、利用率は10%を下回った。それでも施設維持費などは毎年かかる。最近10年間の累積損失額は1100億ウォンに達する。利用客が多い空港の施設改善に使うべき資金が破綻空港で浪費されているのだ。
金大中(キム・デジュン)政権の実力者が推進した全羅南道の務安空港も事情は同じだ。国庫から3000億ウォンを投入し、07年開港したが、慢性的な赤字だ。昨年務安空港の当期純損失は200億ウォン、最近10年間の損失額は1300億ウォンを超えた。274万平方メートルの敷地に整備された2800メートル滑走路の利用率は国内最低の0.1%にすぎない。がら空きの滑走路にトウガラシを干す写真が公開され、「トウガラシ空港」とも呼ばれる。
赤字地方空港は10カ所余りに達するが、「地方新空港」の建設を目指す動きは衰えていない。予備妥当性調査で事業性が不足しているとの判定を受けた瑞山空港も再び推進されている。
チェ・ソンジン記者