▲韓国気象庁国家地震火山総合状況室で衛星写真を使い白頭山の地表の変化について比較説明するイ・ハソン気象研究士。11日撮影。/コ・ウンホ記者

 「白頭山が2025年に大噴火を起こす」といういわゆる「白頭山噴火100年周期説」について韓国気象庁は先月18日、「可能性は低い」とする初の公式見解を発表した。オンラインなどで白頭山噴火を巡る奇怪な主張が相次いだため、気象庁が火山活動などを分析し、今回の結論を提示したのだ。

 気象庁は4月18日「白頭山について2018年から5年かけて集めた観測資料や噴火の前兆となる現象について全数調査を行ったところ、『2025年大噴火説』を裏付ける客観的な根拠はなかった」と説明した。気象庁はさらに「火山活動は自然現象だ。100年に1回ずつ噴火するという見方そのものがデマだ」とも指摘した。

(1)活動がなかった白頭山が2025年に噴火?

 気象庁火山特化研究センターは2018年から中国活火山研究センターと共同で光学および熱赤外線の衛星写真などを活用し、白頭山の地表や天池の変化などについて観察を続けている。火山活動が本格化すれば地下のマグマが上昇するため、白頭山周辺の地表に亀裂が生じて地震が発生する。天池の温度、面積、水位も変わってくる。しかし最近は白頭山のマグマの動きはむしろ安定している。特定の年度に特定の火山が噴火するという話は、特定の日時と地域に集中豪雨が降ると数年前から予測するのと同じだ。地震や火山の噴火を2-3年前から予測するのは難しい。

(2)白頭山は100年に1回噴火する?

 1925年に白頭山が噴火したとの主張は「白頭山から火山の煙が上がった」というロシアでの記録が事実上の全てで、公式の形では噴火と認められていない。最後の噴火記録は1903年で、これは火山灰の分析により証明された。白頭山は過去1100年間に三十数回大小の噴火を起こした記録が残っているが、それは全て証明されたものでもなく、「100年周期」に合わせて噴火もしていない。

(3)北朝鮮の核実験が白頭山を噴火させる?

 核実験は「人工地震」を伴う。北朝鮮の核実験が「マグニチュード7以上」の地震を引き起こし、これが白頭山の火山活動に影響するとの研究結果もある。これに対して「どれほど大きな地震が起こっても、地下のマグマが今のように安定していれば、これが火山の噴火につながることはあり得ない」というのが気象庁の説明だ。マグマが非常に不安定な時に合わせてマグニチュード7以上の人工地震を起こせば、火山の雷管が作動する。北朝鮮の核実験で発生した地震は2017年に水素爆弾を爆発させた時のマグニチュード5.7が最も大きかった。

(4)白頭山は活火山、いつの日か噴火

 白頭山の地下には2-4個のマグマだまりが存在すると推定されている。つまり生きている火山だ。2003年に白頭山周辺で亀裂や山崩れが起こり、その後原因不明の状態で木が枯れ、ヘビが死んだと中国で報じられた。2002-07年に天池周辺が10センチ以上も上昇したとの研究結果もある。「活火山のため、大規模な地殻変動と共にいつか噴火する」と複数の専門家が予測しているのだ。

 噴火すれば災害だ。被害の程度は噴火の規模によって変わるだろうが、半径数十キロ以内は火山灰で大きな被害が発生しそうだ。天池の水も津波のように下に流れ出すだろう。白頭山から豊渓里核実験場まで110キロ、寧辺核施設までは250キロで、これらが破壊される可能性も高い。生活の基盤を失った北朝鮮住民が一気に脱北を敢行することも考えられる。白頭山周辺だけで数百万人の北朝鮮住民が生活している。災害が起これば北朝鮮政権は住民の統制力を失うだろう。

 風向きや気圧配置によっては火山灰は韓国にも影響を及ぼしそうだ。航空機の運航が中断し、農作物も順調に育たなくなる。日本に影響することも考えられる。気象庁の関係者は「白頭山の噴火はこれまで経験したことのない災害を引き起こすだろう」「単なる奇怪な主張と見なす問題ではないので、気象庁として公式見解を公表した」と説明した。

パク・サンヒョン記者

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