▲イラスト=UTOIMAGE

 中国政府当局が記念撮影スポットとして有名な絶壁から突き出した岩を撤去した。転落事故などの危険性があるという理由からだ。これに対して一部では「行政便宜主義」と批判の声が上がっている。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストなどが23日に報道した。

 報道によると、中国・河南省安陽市の絶壁の一部が12日、当局によって掘削機ブレーカーを使って除去されたとのことだ。この絶壁は毎年数千人の観光客が訪れる観光スポットで、ほとんどの人々が絶壁の端に腰掛けて記念写真を撮るために訪れていた。

 絶壁から突き出した岩は「試胆石(度胸試しの岩)」と呼ばれて、先端が舌のように突き出た形をしていた。一歩間違えば転落しかねない、非常に危険な形だ。ノルウェーの有名な岩「トロルトゥンガ(トロールの舌)」に似ている。「ウェイボー(微博)」など中国のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で検索すると、観光客が岩に腰掛けてポーズをしている写真がすぐに見つかる。

 このように多くの観光客が訪れていた岩を中国政府当局が突然、撤去してしまったのはなぜだろうか。中国政府関係者は「事故が起こるかもしれないという懸念があったため」と説明した。多くの観光客が絶壁の端まで行って記念写真を撮るが、この時、転落事故が発生する危険性が高いということだ。

 今回の当局の決定に、インターネット上では議論が巻き起こっている。ネット上の意見は二つに分かれ、対立している。「危険要素は事前に除去した方がいい」という意見と、「行政上の便宜のために人気観光スポットをなくしてしまうというのは単純な考えだ」という意見だ。「いっそのこと、観光客が近づけないようにフェンスを設置した方がよかったのでは」という人もいた。政府の決定に対して賛否を問うネット投票も行われた。この投票で約2万2000人が「政府当局が岩をなくしたのは適切だった」に投票した。一方、約7300人は「自然のまま保存すべきだった」に投票した。

 これについて、中国政府関係者は「もともとここは正式な観光地ではなかった」「絶壁と岩を管理する職員は割り当てられていない」と語った。一部で取りざたされた「行政便宜主義」に関する指摘については「すでに岩に亀裂が入っていて、警告表示板も取り付けていたが効果がなかったため、やむを得ない選択だった」と説明した。その上で、「多くの人が写真を撮るために絶壁の岩に登ったが、これはとても危険な行動だ。万が一の事故を未然に防ぐために壊した」と言った。

パク・ソンミン記者

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