▲韓国電力、韓国水力原子力などで構成されるチームコリアがアラブ首長国連邦(UAE)で韓国型原子炉「APR1400」を採用して建設・運用中のバラカ原発。/NEWSIS

 米政府が韓国が独自開発した韓国型原子炉「APR-1400」の輸出にブレーキをかけた。米原発メーカーのウェスチングハウスが昨年、韓国型原子炉の輸出差し止めを求めて米国で提訴したのに続き、米政府までもがチェコへの原発輸出に待ったをかけた格好だ。脱炭素に向け世界各国が相次いで原発を発注する中で、米政府が最高の技術力と建設能力、経済性を備えた韓国の原発産業を本格的にけん制し始めたと受け止められている。原発輸出は産業だけでなく、政治・外交・産業全般が絡む国家間契約の性格が強く、今月末に訪米する尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の役割が重要になったとの声がある。

■身内びいきの米エネルギー省

 韓国水力原子力と原発業界によると、米エネルギー省は1月19日、韓国水力原子力が昨年末に提出したチェコ原発事業の入札関連申告書類を差し戻した。チェコのドコバニ原発は120万キロワット級原発1基を建設する事業で、今後3基の追加発注も有力だ。韓国水力原子力は現在、米ウェスチングハウス、フランス電力(EDF)と競合している。韓国水力原子力は昨年11月、入札に参加し、関連書類を米エネルギー省に提出した。

 米政府は原発の重要3大技術を輸出規制対象に指定し、それを外国に移転する際には米エネルギー省の許可を受けるか、届け出を行うよう規定している。韓国水力原子力は3大技術を国産化したが、ウェスティングハウスの技術を使用したことから、米エネルギー省に申告書を提出。同省がそれを差し戻した格好だ。エネルギー省は「関連規定により、米国人または米国法人が申告書を提出しなければならない」と差し戻し理由を説明した。韓国水力原子力が届け出主体になれないため、米国法人であるウェスティングハウスを通じて届け出を行うことを求めたと解釈される。韓国がアラブ首長国連邦(UAE)に原発を輸出したのは、関連技術を国産化する以前だったため、韓国原子力業界はウェスチングハウスに技術コンサルティング料を払う方式で届け出・許可問題を解決した。

 これに先立ち、ウェスチングハウスは昨年10月、韓国水力原子力の韓国型原子炉輸出差し止めを求め、ワシントンの連邦地裁に提訴した。ウェスチングハウスは「韓国型原子炉に自社の技術が採用されており、原発輸出には米政府の許可が必要だ」と主張している。韓国水力原子力がウェスチングハウスとの対立を円満に解消しなければ、今後の原発受注戦でもぎくしゃくした状況が続くとみられる。

■韓国を手懐けようとする米国

 ウェスチングハウスによる提訴と米政府による書類差し戻しについて、韓国原発業界は世界最高水準の韓国原発業界をけん制する狙いがあると受け止めている。1979年のスリーマイル原発事故以後、30年以上原発建設経験がなく、中核技術以外は事実上「殻だけ」となったウェスチングハウスとしては、過去40年間国内外で原発建設と運営ノウハウを蓄積してきた韓国の原子炉が目障りになった。チェコに先立ち、ポーランドの原発でも韓国水力原子力はウェスチングハウスと受注競争を繰り広げた。当初米国とポーランドによる協定で、国家事業ではウェスチングハウスが選定されたが、韓国水力原子力も民間発電最大手であるZEPAKと原発2-4基の建設に向けた意向書を締結した。

 原発業界関係者は「原発を受注しても施工能力が劣るウェスチングハウスが韓国企業を下請け業者にするためにけん制に乗り出した可能性もある」とし、「米国とウェスチングハウスが世界原発産業で占める地位を考慮した場合、円満な問題解決が必要とみられる」と話した。韓国水力原子力も「米エネルギー省の勧告を受け、ウェスチングハウスと協議を進めている」と発表した。中央大エネルギーシステム工学部の鄭桐旭(チョン・ドンウク)教授は「今月の訪米で尹錫悦大統領が原発輸出を議題に取り上げ、相互協力を強化する必要がある。原発産業の特性上、政府首脳同士で解決しなければならない問題が多い」と指摘した。

趙宰希(チョ・ジェヒ)記者

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