【NEWSIS】米ワシントンで10年以上にわたり生活を続けてきたブラジル出身の留学生がロシアのスパイだった。米紙ワシントン・ポストが30日(現地時間)に報じた。

 米法務省が24日に連邦裁判所に提出した訴状によると、セルゲイ・チェルカソフはロシアのカリーニングラード出身のスパイで、ほぼ10年にわたりビクター・ミューラー・フェレイラという全く他の人物として生活してきた。チェルカソフは外国人として不法なスパイ活動を行い、銀行詐欺、送金詐欺、査証詐欺など複数の容疑で起訴された。

 チェルカソフはジョン・ホプキンス大学国際関係学科の修士課程に在学し、卒業後はオランダのハーグにある国際刑事裁判所(ICC)で6カ月のインターンとなる予定だった。

 その際FBIがオランダの情報機関に情報を流した。オランダ政府は入国を不許可とし、チェルカソフを自身の出身地と主張するブラジルに送還した。チェルカソフはブラジルに到着すると同時に逮捕された。チェルカソフは偽りの身分と虚偽文書使用などの容疑で15年の懲役刑が宣告され現在服役中だ。

 ワシントン・ポストはこの事件でロシア情報機関の深刻な欠陥が浮上したと指摘した。裁判所の記録やセキュリティ関連の政府当局によると、当局はチェルカソフのパソコンやその他の機器を調べ、ロシアに送った電子メール、メッセージ、不法送金記録、偽りの生活に関するメモなど大量の証拠を発見したという。

 これに対してロシアはチェルカソフがスパイであることを否定した。ロシアはチェルカソフについて「学生でもスパイでもなく、刑務所への服役から逃れるためロシアを脱出し指名手配された麻薬密売業者」と主張している。またブラジル政府に対しチェルカソフをロシアに引き渡すよう要請した。

 チェルカソフは捜査の初期段階で「自分はフェレイラであり、捜査当局が間違っている」と主張した。しかしその後は減刑を期待しロシア人であることを認めた。さらに「些細な犯罪に対する処罰を恐れてロシアを離れた」と涙を流しながら自白したという。

 オランダ政府は異例にもチェルカソフに関する情報を公開した。オランダ政府は今回の公開決定について「ロシアの行為を暴露し、不法な移民者の脅威に対する同盟国政府の関心を促すための努力の一貫」とコメントした。

 逮捕から8カ月が過ぎた今、チェルカソフは今も服役している。ブラジル最高裁は先日、ロシアからの犯罪人引き渡し要請を暫定承認した。ロシアのラブロフ外相が4月末にブラジルを訪問する予定のため、ロシアはチェルカソフを釈放させる方法を見いだすだろうと予想されている。

チャ・ジョングァン記者

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