24日、京畿道水原市にある水原地裁の法廷。生後9カ月の乳児を死亡させ、児童虐待・殺害で起訴された保育園園長(66)に対する結審公判が行われた。園長は昨年11月、乳児をうつぶせの姿勢で寝かせた後、頭まで布団をかけ、座布団を載せて約14分間体を圧迫し、乳児を窒息死させたとして起訴された。

 亡くなったのはベトナムから来たチョン・アン・ドンさん(33)とボ・ティ・ニュンさん(25)さん夫妻の息子チョン・ドン・ミンちゃんだ。同日の法廷で母親のボ・ティ・ニュンさんは泣きながら、慣れない韓国語で裁判長に訴える手紙を読み上げた。「あれほど好きだった韓国に来て、夢をかなえようと一生懸命頑張って生活していたが、子どもを守れなかった罪悪感で死ぬほどつらい」「心からの謝罪も一言もなく、『故意ではなかった』という加害者を厳重に処罰してほしい」という内容だった。

 父親のチョン・アン・ドンさんは仕事を求めて2011年に韓国に来て、京畿道華城市の工場で溶接・プレス作業・組み立てなどの仕事をしてきた。2018年に故国で交際していたボ・ティ・ニュンさんと結婚したが、3年以上韓国とベトナムを行き来する別居婚となった。そして、2021年にボ・ティ・ニュンさんが韓国に来て、息子のドン・ミンちゃんが誕生したという。昨年3月、結婚から4年目にして子どもが生まれると、夫婦はこの上なく幸せな気持ちになったそうだ。3人ともベトナム国籍だが、息子が韓国でうまく適応し、暮らしていけるよう願って、韓国でもよく使われる「ドン・ミン」という名前を当てたという。

 しかし、昨年11月、父親のチョン・アン・ドンさんが椎間板(ついかんばん)ヘルニアの手術で仕事を休むことになり、ドン・ミンちゃんを保育園に預けなければならない状況になった。工場の仕事で病気になり、動けなくなった夫に代わって、妻のボ・ティ・ニュンさんがパートをしなければならなかったからだ。チョン・アン・ドンさんは生後9カ月しか経っていない乳児を他人に預けるのが心配だったが、かつて保育士を夢見ていた妻ボ・ティ・ニュンさんが「保育園の先生たちはみんないい先生だ。預けても大丈夫」と夫を説得したという。ドン・ミンちゃんは人見知りをしない、おとなしい赤ちゃんだった。しかし、昨年11月3日の初登園からわずか1週間後の11月10日にドン・ミンちゃんは亡くなった。

 突然の悲劇に夫婦の人生はメチャクチャになった。父親のチョン・アン・ドンさんは、妻と子どもに対する申し訳なさと無念さから不眠に陥った。ドン・ミンちゃんはベトナムにいる祖父母たちにとっても大切な孫だった。韓国にいる孫の声を聞こうと、毎日夫婦にテレビ電話をかけた。だが、ベトナムにいるドン・ミンちゃんの祖母・祖父はまだ孫がなぜ亡くなったのかも知らない。チョン・アン・ドンさんは「母親の心臓が良くなくて、息子は事故で死んだとウソをついた」「虐待されたという話はどうしても言えなかった」と語った。

 この日の公判で、「故意ではない」という園長の主張に夫婦は怒りを爆発させた。チョン・アン・ドンさんは「子どもを布団で覆って、枕で押さえつけて息ができないようにしたのに、故意ではないというのは理解できない」「あの日、保育園に子どもを行かせたのが本当に悔やまれる」と目を赤くした。遺族側弁護人を務めるキム・シンチョル弁護士は裁判所に「被告人は引き続き裁判所に反省文を提出しているが、過ちに対する謝罪は被害者にしなければならないのにもかかわらず、一度も訪ねてきたり電話をしたりしなかった」と言った。検察は園長に懲役30年を求刑した。一審判決は来月20日の予定だ。

ソ・ボボム記者、キム・フィウォン記者

ホーム TOP