▲「自主統一民衆前衛」のメンバーら。/写真=聯合ニュース

 このほど国家保安法違反の罪で起訴された慶尚南道昌原の「自主統一民衆前衛(自統)」メンバーらが北朝鮮から受け取った「朝鮮日報廃刊運動督励」指令文には「盧武鉉財団、民労総(全国民主労働組合総連盟)を活用せよ」など、北朝鮮の具体的な指示事項が含まれていたと伝えられている。

 ソウル中央地検が今月15日に自統総責任者のファン被告(60)などメンバー4人を起訴する際に裁判所へ提出した起訴状には、自統が2021年7月16日に北朝鮮の対南工作機関である文化交流局からオンライン・ストレージ(保管)・サービスを利用して受信した「朝鮮日報廃刊運動督励」指令の全文が収められていた。23日までの本紙の取材によって判明した。

 北朝鮮は「朝鮮日報廃刊のための活動方向」というタイトルの指令文で、まず「最近、社会的に朝鮮日報に対する不信と嫌悪感が高まっている中、極右保守メディアの廃刊を要求する青瓦台国民請願の参加者数が30万人を突破し、朝鮮日報廃刊運動本部という闘争団体まで組織されるなど、社会的な排斥の気運が盛り上がっている」と前置きした。

 その上で「これに関連して理事会(自統)では、地域内の広範囲な民衆を発動させ、朝鮮日報廃刊を要求する集中闘争を宣布し、さまざまな闘争形式と方法を探求・適用しつつ、より広範な群衆を廃刊闘争に呼び込むための活動を展開していかなければならない」と指示した。朝鮮日報廃刊を要求する青瓦台請願者の数が30万人を超えている時期に合わせて、集中闘争をせよというのだ。

 北朝鮮は自統に、朝鮮日報廃刊運動のための具体的な案も示していた。北朝鮮は「まず朝鮮日報の廃刊を要求する青瓦台国民請願運動に、地域内の進歩運動諸団体はもちろん盧武鉉財団をはじめとする文在寅(ムン・ジェイン)勢力や中道改革勢力まで広範囲に参加させるための世論戦および内的活動を積極的に繰り広げ、青瓦台国民請願の参加者数を不断に増やすようにすべき」と指示した。

 また北朝鮮は「民労総地域本部、地域進歩連合、地域運動本部、地域平和会議をはじめとする大衆運動諸団体に、朝鮮日報の反民族的で反統一的な犯罪行為を暴露・断罪する声明、記者会見を連続発表するように仕向ける一方、抗議デモを現実的条件に合わせて多様かつ斬新に組織・展開しなければならない」と伝達した。さらに「これと共に、既に組織され活動している朝鮮日報廃刊運動本部との連帯活動、共同闘争を活発に繰り広げ、朝鮮日報の廃刊を要求する社会的雰囲気を持続的に盛り上げていかなければならない」と付け加えた。

 北朝鮮は、既に作られている朝鮮日報廃刊運動本部だけでなく、盧武鉉財団、民労総などをはじめとする諸団体へ外縁を広げ、朝鮮日報廃刊運動を展開せよと具体的に指示したのだ。

 法曹界の関係者は「北朝鮮が自統を通して、朝鮮日報廃刊のための世論戦を繰り広げようとしたものとみられる」とし「特定の報道機関に対する攻撃は自由民主秩序を害しようとする試み」だと語った。

ソン・ウォンヒョン記者

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