政治総合
「自衛隊の韓半島進駐」「日本が軍事大国化」…反日集会で叫ばれる韓国野党の主張、どこまで本当なのか
韓国野党・共に民主党は先日の韓日首脳会談について、韓国政府に対し「日本の下僕」「尹錫悦(ユン・ソンニョル)退陣」などと批判し攻勢を強めている。また同党の李在明(イ・ジェミョン)代表は18日にソウル広場で開催された大規模集会で「韓日GSOMIA(軍事情報包括保護協定)」の正常化などについて「日本の軍事大国化に同調」「自衛隊の韓半島進駐」など、事実とは異なる非常に過激な主張を行った。李代表は韓国政府が掲げる「第三者弁済方式」による強制徴用問題解決策についても「日本の意向に沿っただけの屈辱的な態度」と批判した。
■GSOMIA正常化と日本の軍事大国化
李代表は集会でGSOMIA正常化を「日本の軍事大国化」「日本の平和憲法無力化」などと連結させた。しかしGSOMIAは北朝鮮の核とミサイルに関する情報、ミサイル基地・潜水艦基地の衛星写真、元北朝鮮政府高官の脱北者や中朝国境地帯の人的ネットワークから集められた情報など、事実上「北朝鮮の核」にのみ使用が制限されている。韓国は元北朝鮮政府高官の脱北者など人間を媒介とする情報(ヒューミント)に強みがあり、日本は偵察衛星の数(現在9基)や衛星写真の解像度などで優位にあることから、両国が情報を交換すれば互いにとって利益となる。梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「GSOMIAは情報共有に限定されているので、日本の平和憲法の基本精神に全く反しない」と指摘した。
■自衛隊の韓半島進駐
李代表が指摘した自衛隊の韓半島進駐問題は、2015年の米日による防衛協力のための指針(ガイドライン)でも問題になった。しかし最終的に韓国の同意なしに自衛隊は介入できないことではっきりと整理がついた。この米日の新ガイドラインに基づき自衛隊は補給、輸送、修理、整備、医療などの対米支援を行うことができる。これを根拠に、韓半島有事(全面戦争)に国連軍司令部の後方基地(在日米軍基地)から韓半島に出動する米艦隊に対し、自衛隊が護送作戦を展開することができるようになった。日本では先日の安全保障関連法改正により「敵基地攻撃能力」の保有が進められているが、これは日本を攻撃した中国や北朝鮮のミサイル基地などを日本がミサイルなどで攻撃するというものだ。
■植民地支配の不法性否定
共に民主党は「第三者弁済方式」を主な内容とする尹錫悦政権の強制徴用賠償問題解決策について「植民地支配の不法性をひっくり返した」と主張している。しかし「日本の植民地支配は不法」とする韓国政府の基本的な立場はこれまでどの政権でも変わったことはない。尹錫悦政権による今回の決定は徴用問題を巡る国内法(大法院判決)と国際法(韓日協定)の間隙を解消するものだ。請求権協定は「請求権に関する問題は永久かつ最終的に解決した」と定めているが、大法院判決は「日本の不法支配による損害賠償請求権は韓日協定で喪失していない」と判断した。その間隙を埋めるためこれまで専門家が唯一の現実的解決策としてきたのが「第三者弁済案」だった。実際に文在寅(ムン・ジェイン)政権当時、現在の野党の大物政治家だった文喜相(ムン・ヒサン)国会議長(当時)は「1(韓国企業)プラス1(日本企業)プラスアルファ(韓日国民の寄付)」を骨子とする第三者弁済案を提案した。文在寅政権はこれを実行しなかったが、尹大統領は今月16日「(韓日協定と判決を)調和を持って解釈するためのもの」と説明した。
■謝罪がない
共に民主党と進歩(革新)陣営は以前から「日本の真正な謝罪がなかった」と主張してきた。これについて韓国大統領室の関係者は「歴史問題に関する日本政府の直接の謝罪はかつて日王(原文ママ)や首相を含め50回以上行われ、岸田首相もこれを継承すると言った」と反論した。日本による韓国への謝罪は日本の首相談話や宣言の形で何度も補完されてきた。1995年の村山談話では「痛切な反省」という言葉が使われ、1998年の韓日パートナーシップ共同宣言(金大中〈キム・デジュン〉・小渕宣言)では「多大な損害と苦痛に対する痛切な反省と心からのおわび」などの文言が合意文書に明記された。2010年の菅直人談話は痛切な反省の意向に加え「(韓国の)意向に反して行われた植民地支配」という言葉が使われるなど、韓日併合の強制性を認めた。明仁日王(原文ママ)も1990年「痛惜の念を禁じ得ない」と述べた。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者、趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者