▲金於俊(キム・オジュン)氏/聯合ニュース

 韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」は最近、支持率の下落傾向が顕著になると「世論調査のせい」だとした。このごろは世論調査で保守層の回答者が非常に多いから支持率が落ちており、李在明(イ・ジェミョン)代表の司法リスクの影響はない、と主張した。朴賛大(パク・チャンデ)最高委員は「(保守系与党の)『国民の力』全党大会の効果で(回答に積極的な)保守層が過度にサンプリングされたのは明らか」と発言した。

 だが「保守層の過度なサンプリング」という主張には根拠がない。主な調査機関4社が共に実施した全国指標調査(NBS)の昨年末と最近の結果を比べてみると、標本全体に占める保守層の割合は34%から33%へと、むしろ減っていた。それにもかかわらず、与野党の支持率は与党32%対野党28%から与党39%対野党26%へと、差が広がった。民主党の支持基盤である湖南(全羅道地方)と進歩層での支持率下落も「保守層の過度なサンプリング」とは無関係だ。NBS調査で民主党の湖南における支持率は、昨年末の時点では59%だったものが、最近は42%に急落した。進歩層も、支持率54%から51%に落ちた。李代表の司法リスクで伝統的支持層も揺らいでいる。

 民主党戦略委は少し前に議員総会で、「金於俊(キム・オジュン)氏の設立した調査会社である『世論調査・花』のARS(地域無作為抽出)調査では与党より10ポイントも優勢だ」という分析が載った資料を配ったという。このところ韓国ギャラップ、NBS、RnSearch、国民リサーチグループなど大多数の調査では与党の支持率が高かったが、民主党は「例外的に有利な」金於俊印の調査を信じたいらしい。

 だが金於俊印の調査では、特定の回答を意図しているような設問がしばしば見られる。「検察は憲政史上初めて、野党代表の3回連続検察出頭を要求した。これは次期大統領選ランナーを除去しようとする標的捜査だという主張についてどう思うか」というような問い方だ。李代表側の主張ばかりを羅列し、「標的捜査」の側へ回答を誘導するものという指摘を受けて当然の設問だ。大多数の調査で、李代表に対する検察の捜査は「適法」という回答が優勢だが、世論調査・花では「標的捜査」という回答が58%だった。

 また、世論調査・花では金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人と韓東勲(ハン・ドンフン)法相関連の調査がひときわ多い。最近発表したARS調査では、全6項目のうち3項目が金夫人の株価操作関与疑惑に関する内容だった。昨年12月には、全10項目のうち6項目が韓法相の政治家としての資質や答弁態度などに関するもので、金夫人の検察召喚の必要性を尋ねる項目も一つあった。専門家らは「設問の過程で特定の党派に有利に見える項目が続くと、反対党派の支持者が調査中に電話を切るケースがある」とし「そういう場合、調査結果がゆがめられる」と語った。どの調査会社がどういう調査をするかによって結果が違ってくる「ハウス・エフェクト」が働いているという見方だ。

 民主党が、自分たちに不利な世論調査は無視して都合のいい「金於俊印の調査」ばかり信じるのであれば、支持率下落の原因も突き止めることはできないだろう。その代償は来年の総選挙で手ひどく払うほかない。

洪永林(ホン・ヨンリム)世論調査専門記者兼データジャーナリズム・チーム長

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