韓国の国民年金公団は2日、昨年の国民年金基金の運用利回りがマイナス8.22%を記録したと発表した。1999年に基金運用本部が発足して以降で最低だ。昨年末現在の積立金は890兆5000億ウォン(約92兆7900億円)で、900兆ウォンを下回った。昨年1年間の損失は79兆6000億ウォンだった。

 資産別では国内株式がマイナス22.76%、海外株式がマイナス12.34%、国内債券がマイナス5.56%、海外債券がマイナス4.91%、オルタナティブ投資がプラス8.94%と集計された。通常はリスク資産である株式と安全資産である債券は逆に推移し、互いを補う傾向があるが、昨年は株式と債券の収益率がいずれも低下した。国内株式と債券が同時に下落したのは2001年以来のことだ。

 国民年金は「昨年の世界的な金融引き締めとロシア・ウクライナ戦争などによる金融市場の行き詰まりで運用利回りがマイナスを記録した」とした上で、「オルタナティブ投資の拡大とドル高による為替差益で損失幅を縮小した」と説明した。

 保健福祉部は海外の主要年金基金と比べ、国民年金の運用成果は相対的に良好だったとの立場だ。ノルウェー政府年金基金(GPFG)、オランダ公務員年金(ABP)による昨年の運用利回りはそれぞれマイナス14.1%、マイナス17.6%だった。しかし、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF、マイナス4.8%)とカナダ年金制度投資委員会(CPPIB、マイナス5.0%)は国民年金よりも運用実績が良かった。GPIFの場合、日本の債券と株式の下落幅が世界市場よりも小さく、円安による評価益が大きかった。CPPIBは昨年善戦したオルタナティブ投資の割合が59%で韓国の国民年金(16.4%)に比べはるかに高い。

 保健福祉部は「今年は金融市場が落ち着き、運用利回りも次第に回復を示している」とし、「優秀な人材の確保と基金運用の専門性強化などを通じ、長期利回りの向上に引き続き努めていく」とした。

ユン・ジンホ記者

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