▲テウンメディカルの附属研究所で従業員が医療用機器であるステントの性能を実験している。/朝鮮DB

 オリンパスは24日、消化器用メタリックステントなど消化器科処置具を製造する韓国の医療機器メーカー、テウンメディカル(京畿道金浦市)を3億7000万ドル(約483億円)で買収することで合意に達したと発表した。オリンパスが年商640億ウォン(約66億円)の韓国企業を買収したのは、その技術力を高く評価したためだ。

 オリンパスのセラピューティック・ソリューションズ部門責任者、ガブリエラ・ケイナー氏は「テウォンメディカルは消化器用メタリックステントの完全なポートフォリオを保有している」と指摘した。

 テウンメディカルは胆道、食道、大腸、十二指腸の治療に用いるメタリックステント分野の世界的な有力企業。ステントは血液や体液などが流れる血管などが狭くなった際にその流れを円滑にするために入れる金属製の網だ。ステントは手術せずに内視鏡で治療を行う低侵襲治療の核心となる。

 テウンメディカルは米国、日本、欧州を含む約70カ国に年間3000万ドルの輸出を行うが、対日輸出だけで100億ウォン以上に達する。参入が困難なことで知られる日本市場でシェア1位を維持している。韓国国内で88件、海外で91件の特許を保有している。

 消化器用ステントは特に胆道がんなどで胆道が狭くなったり詰まったりした際にそれを解消するのに使われる。テウンメディカルのメタリックステントは拡張性と柔軟性を兼ね備えていることが特徴だ。ステントは直径1~10ミリの胆道や食道に入るが、柔軟性が不足すると挿入が難しく、曲がってしまうため、再狭窄のリスクがある。

 テウンメディカルは多国籍医療機器メーカーの営業担当だったシン・ギョンミン代表が1991年に個人で設立した「テウン」が前身。 その後、1995年にソウル大学診断放射線科と共同で腹部大動脈血管が風船のように膨らんだ患者を手術せずに治療する血管ステント(SNUH)を開発し有名になった。

 テウンメディカルは韓国化学試験研究院と提携し、ソウル大病院、セブランス病院、ソウル峨山病院、サムスンソウル病院などと共同で製品開発を行い、「産学研」の成功ケースとしても注目された。2018年にはソウル大病院と協業し、豚の生体組織で作った肺動脈人工心臓弁膜(製品名PULSTA)を開発し、食品医薬品安全処の許可を取得した。

 テウンメディカルの21年の売上高は640億ウォン、営業利益は127億ウォン、営業利益率は19.8%だ。しかし、19年に内部告発でリベート疑惑が浮上し、警察と国税庁による捜査を受け、危機に直面した。

 オリンパスは内視鏡技術とテウンメディカルのステント技術が結び付けば、大きな相乗効果を発揮できると期待している。オリンパスは一般消費者にはデジタルカメラ業者として広く知られているが、全世界の消化器内視鏡市場の70%を占める最大手だ。オリンパスは21年12月、医療分野における戦略的な方針を策定し、顕微鏡などの科学事業を売却。消化器分野に集中すると発表した。

キム・ミョンジ記者

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