▲慶尚北道慶州市陽南面にある新月城原発2号機の使用済み核燃料貯蔵プール/オ・ジョンチャン記者

 韓国の原発内に臨時で保管されている使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の飽和時期が当初の2031年から1-2年早まった。原発内に使用済み核燃料を保管する場所がなくなれば、無条件に原発の稼働を中止しなければならない。使用済み核燃料を永久的に廃棄、保管する施設をつくる前段階で、原発敷地内に保管する乾式貯蔵施設を設置するのに少なくとも7年かかるという点を考慮すると、対策が急がれる。使用済み核燃料は原発で4-5年間燃焼後に取り出した燃料棒を指す。原発の建屋内にあるプールで5-6年冷やせば、乾式貯蔵施設に移すことができるが、まだ関連する制度と施設の準備ができておらず、今のところは原発内のプールに保管している。

■ハンビッ原発から順に飽和時期早まる

 韓国政府と原発業界によると、当初2031年だったハンビッ原発(全羅南道霊光郡)の使用済み核燃料保管プールの飽和時期は29-30年に1-2年繰り上がる。産業通商資源部が昨年、韓国放射性廃棄物学会に依頼した再算出の結果だ。産業通商資源部と放射性廃棄物学会は来月、最終結果を発表する予定だ。

 脱原発を推進した文在寅(ムン・ジェイン)政権下の21年12月、産業通商資源部はハンビッ原発と古里原発が31年、ハンウル原発は32年に原発内のプールが満杯になると予想した。

 しかし、脱原発路線を廃止した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が稼働年限が迫った原発10基を延長して稼動することを決め、原発稼働率を高めたことで予想に狂いが生じた。ハンビッ原発1・2号機は25、26年に順次稼動を中止する計画だったが、稼働が継続されることになったため、飽和時期がやや早まった。ハンウル原発(慶尚北道蔚珍郡)も1・2号機が当初の設計寿命を迎える27-28年以降も稼動を継続することになり、当初32年と予想された飽和時期が1-2年繰り上がりそうだ。

 昨年末現在で原発の使用済み核燃料保管プールの貯蔵容量飽和率は古里原発が87.5%、ハンビッ原発が77.9%、ハンウル原発は74.7%だ。プールが満杯になり、これ以上原発を稼働できない危機が目前に迫っているのだ。韓国の原発で唯一乾式貯蔵施設がある月城原発は、乾式貯蔵施設7基の増設が20年に承認を受け、稼働中断の事態を免れた。韓国水力原子力関係者は「もし乾式貯蔵施設の建設承認が先送りされていれば、計2.1ギガワット規模の月城2、3、4号機が昨年3月以降、ストップするところだった」と話した。

■危機直前だが制度改善に遅れ

 問題は危機が目前に迫っているにもかかわらず、乾式貯蔵施設建設のための特別法の議論が足踏み状態である点だ。乾式貯蔵施設設置のための設計、許認可、建設、容器製作には7年以上かかる。ハンビッ原発は今年から乾式貯蔵施設の設計を始め、許認可を受けたとしてもぎりぎりの日程だ。

 文在寅政権時代の21年、民主党が特別法を提案し、現政権でも国民の力が2本の法案を提案したが、常任委での検討さえなされていない。慶煕大の鄭ボム津(チョン・ボムジン)教授は「ロシア・ウクライナ戦争で液化天然ガス(LNG)と石炭の価格が急騰する中、電気料金の負担を軽減するには原発を最大限稼働しなければならない状況だ。乾式貯蔵施設の建設は必須だ」と指摘した。

 特別法と共に乾式貯蔵施設に対する認識改善も必要だ。韓国水力原子力のイ・ジョンホ元技術本部長は「乾式貯蔵施設がある月城原発の敷地の放射線数値は周辺地域の自然放射線数値と同じで、同じ時間帯のソウルよりも低い」とし、「事前に正確な情報を提供しながら、対象地域、国民と意思疎通しなければならない」と述べた。産業通商資源部関係者は「26日の国会公聴会を皮切りに関連法通過を急ぎ、使用済み核燃料飽和問題を解決していく」と話した。

趙宰希(チョ・ジェヒ)記者

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