▲ソウル市中区の民主労総事務所に対する捜索/18日、コ・ウンホ記者

 韓国の情報機関、国家情報院が国家保安法違反の疑いで捜査している全国民主労働組合総連盟(民主労総)の現職・元幹部4人が北朝鮮の工作員グループに3年余りの間に中国、東南アジアの主要都市で10回接触したと疑われることが25日までに明らかになった。国家情報院は一部の都市で接触現場を近くで追跡し、証拠も確保したという。

 複数の安全保障・捜査当局筋などによると、民主労総組織局長、金属労組元副委員長、保健医療労組組織室長、済州平和憩いの場代表の4人は2016年8月から20年1月までの約3年半にわたり、北朝鮮の朝鮮労働党対南工作部署である文化交流局の工作員と10回接触したという。幹部らは2-3人で出国したが、北朝鮮工作員との接触は別々の日に個別に行われた。民主労総組織局長、保健医療労組組織室長、済州平和憩いの場代表の3人は17年9月、一緒にカンボジアのプノンペンへと出国した。しかし、3人は北朝鮮の「リ・グァンジン工作員グループ」が滞在するプノンペン市内のホテルの部屋を9月11日に民主労総組織局長、12日に保健医療労組組織室長、13日に済州平和憩いの場代表の順で別々に訪れたという。保安部門関係者は「北朝鮮工作員は指令など重要なメッセージを伝える際、保安維持のために対象組織員に直接伝え、組織員もその内容を仲間の組織員と大抵は共有しない」と指摘した。

 労組幹部らと工作員が接触した都市は中国の大連、広州、ベトナムのハノイ、カンボジアのプノンペンなどだった。安全保障当局関係者は「プノンペンなどでは北朝鮮が工作員を外交官など公館職員に偽装させることが相対的に容易で、工作活動で問題が生じても現地当局の協力を得ることが容易だ」と話した。韓国側の北朝鮮地下組織メンバーも大連、ハノイなどは韓国人旅行客が多い地域であるため、出国時に観光やビジネス目的だと言い張っても疑われにくい。済州道のスパイ容疑が持たれる組織「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」の責任者であるリベラル政党幹部も17年7月、カンボジア最大の観光地であるアンコールワットで北朝鮮工作員を接触し、「済州島に地下組織を結成せよ」という指令を受けた疑いがある。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

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