コラム
【コラム】「迫害呼訴人」李在明、韓国の歴代大統領が犯した罪のオンパレード
「私はベルリン市民です」。ジョン・F・ケネディ米大統領が1963年6月26日、西ベルリンでの講演で発した言葉だ。西ベルリンは東ドイツ領土に囲まれた島のような場所だった。西ベルリン市民は共産主義の暴圧体制が自分たちの自由を奪うのではないかと恐れた。ケネディ大統領は「米国があなたがたの自由を共に守る」と安心させたのだ。その後この表現は暴力に脅かされる大切な価値観との連帯を象徴する言葉になった。ロシアが昨年、ウクライナの独立を踏みにじろうとすると、世界各地で「私たちは皆ウクライナ人だ」というプラカードが掲げられた。
共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が水原地検城南支庁に出頭する現場で支持者らは「私たちは李在明だ」というカードを手にした。李代表のどんな価値と連帯するというのだろうか。この国の産業化、民主化あるいは先進化に寄与した業績があるかどうか記憶にない。城南市長と京畿道知事を歴任する過程で、脱法行為で自分の業績を膨らませ、より強い権力を貪っただけだ。その過程で数多くの人々、さらには家族までも犠牲にした。
支持者は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の検察がありもしない罪で李代表をがんじがらめにしていると主張する。李代表が捜査を受けている容疑は全て文在寅(ムン・ジェイン)政権下で明らかになったものだ。尹政権が新たに明らかにした容疑は1件もない。文政権の検察と警察がそれを何とか覆い隠そうとしたが、一歩遅れて捜査が始まっただけのことだ。
李代表が出頭を求められた城南FC後援金疑惑は、朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領の国政介入疑惑と似た構図だ。公務員が不正な請託に対する見返りを第三者に与える「第3者供賄罪」が適用されたことが共通点だ。李代表は「私益を得たことはない」と無罪を主張している。朴元大統領も個人的に受け取った金は一銭もない。
李代表は公職選挙法違反の罪で裁判を受ける過程で弁護士費用23億ウォン(約2,420万円)の肩代わりを受けた疑惑も持たれている。李明博(イ・ミョンバク)元大統領が懲役17年の刑を受けた容疑の核心もサムスンが弁護士費用60億ウォンを代わりに負担したことだった。李代表の弁護士費用を提供した疑惑が浮上したサンバンウル会長は、海外に逃亡していたが、10日にタイで逮捕された。本人の代わりに家族が登場するという点で、李代表夫人の金恵京(キム・ヘギョン)氏による京畿道の公務用クレジットカード流用疑惑は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領夫人の権良淑(クォン・ヤンスク)氏が泰光実業の朴淵次(パク・ヨンチャ)会長から金銭を受け取ったことを思い出させる。李在明代表は、法の裁きを受けた第16、17、18代大統領の代表的な容疑のオンパレードだ。
何といっても、李在明代表の司法リスクの看板商品は「大庄洞疑惑」だ。李代表の側近が大庄洞開発関係者を優遇する見返りに、大統領選や党内選挙の資金を受け取った疑いで逮捕されている。李会昌(イ・フェチャン)ハンナラ党元代表の側近も不正に大統領選の選挙資金を受け取ったとして逮捕された。李在明代表も李会昌元代表も大統領選で敗北後、勝った側の政権下で選挙資金関連の捜査を受けた。
違いは捜査に対する姿勢だった。李在明代表は、自身に対する全ての容疑は政治検察がつくり出したものだと主張している。李会昌元代表は党財政局長が拘束されると直ちに記者会見を開き「国民の皆様にひざまずいて謝罪する」と語った。「全責任は大統領候補だった私にある。 刑務所に行くとしても私が行かなければならない」とも話した。党役員がカネを受け取った事実を知っていたかとの質問には「知っていたか否かは重要ではない。大統領選で活動した人たちがやったことは、全て大統領選候補のためだ」と述べた。
ハンギョレ新聞は所属幹部が大庄洞事件の首謀者である金万培(キム・マンベ)氏から6億ウォン+3億ウォンの計9億ウォンを受け取ったことが明らかになると、問題の幹部を解雇し、社長と編集局長が辞任すると発表した。「不適切な人物を重要な職責に就かせ、問題行動を事前に把握できず会社に回復し難い損失を与えた」と理由を説明した。公に奉じて働く人々は、事件が起きれば苦しい言い訳もせずに、こういうやり方で責任を負う。李在明代表は大庄洞事業に関与した部下が検察捜査を受けると「誰だか知らない実務担当者」だと一線を画した。自身が最側近と認めていた金湧(キム・ヨン)氏と鄭鎮相(チョン・ジンサン)氏まで拘束されると、「潔白を信じる」と述べ、引き続き疑惑を否認している。「党に回復し難い損失を与えた」と謝罪したことはない。
李在明代表は対談集「これからは李在明だ」で「今我々は非正常、不法、脱法、不正を犯す集団と戦争をしている」と述べた。多くの国民が最近、李在明代表とその支持者たちを見ながら同じ思いでいる。
金昌均(キム・チャンギュン)論説主幹