▲康俊晩・全北大学新聞放送学科名誉教授。/写真=朝鮮日報DB

 康俊晩(カン・ジュンマン)全北大学新聞放送学科名誉教授が、著書で「『共に民主党』(民主党)は尹錫悦(ユン・ソンニョル)が最悪の敵だということを強調するため、支持者まで加勢する中、『悪魔化』の対象にした」と記した。康教授は、昨年12月29日に出版した著書『退魔政治-尹錫悦悪魔化にオールインした民主党(「オールイン」は持ち金の全てを賭けること)』でこのように主張し「尹錫悦悪魔化は文在寅(ムン・ジェイン)政権と民主党の、ネロナムブル(自分がやったらロマンス、他人がやったら不倫。ダブルスタンダード)と厚顔無恥を暴露するブーメランになった。2022年の大統領選挙の結果は、長らく続いた尹錫悦悪魔化の結果だったと言っても過言ではない」と断じた。民主党の悪魔化戦略は、成功どころか大統領選挙の敗北として戻ってきたのだ。

 康教授は、民主党が20年、50年、100年の長期政権のために「悪魔」が必要ということを見抜いたのが「悪魔化」の契機となったものの、ここに全てを投入し、結果的に「自害劇」と化した-と診断した。康教授は「民主党は尹錫悦を憎むというレベルを超え、悪魔と見なすことで自害を続けるパニック状態に陥った」とし「尹錫悦悪魔化という麻薬の中毒になった状態」と記した。

 

 康教授は、民主党が尹大統領の権力欲や邪悪さは極端に過大評価しながらも、逆に尹大統領の能力や道徳性は極端に過小評価したと指摘した。その結果、尹大統領がどれほど邪悪で無能かを暴露することにばかり執着し、自らを省みることには無関心だったと言う。「民主党は、理性を喪失するほど『尹錫悦たたき』にオールインして尹錫悦を育み、政権を渡した傲慢(ごうまん)と愚かさについて、厳しく省察しなければならない」と康教授は語る。

 康教授は、民主党の省察が足りなかった問題として「ネロナムブル」を挙げた。文在寅政権の5年間、民主党は独善と傲慢、無能さを示し、とりわけネロナムブルは「文在寅政権のDNA」だとした。そうした中で、民主党の長期政権シナリオは文在寅政権初期の「積弊清算」などで現実になるかのように見えたが、2019年8月27日、一挙に覆ったという。この日は、当時の尹錫悦検察総長(検事総長に相当)率いる韓国検察が、法相に内定していたチョ・グク氏関連の疑惑を巡って家宅捜索に着手した日だ。いわゆる「チョ・グク事態」に代表される民主党関係者のネロナムブルが、正義と公正をじゅうりんした結果、大統領選挙で政権を渡すことになったのだ。

 康教授は、民主党が依然として尹大統領の弾劾・退陣まで掲げて悪魔化にのめりこんでいる、と批判した。「民主党は、大統領選挙が尹錫悦の勝利で終わるや、自分たちが新たな退魔のいけにえになりかねないという恐怖にとらわれ、『尹錫悦弾劾』にまで言及する『退魔政治』に命を懸けた」

 進歩(革新)陣営の知識人で代表的な論客に挙げられる康教授は、文在寅政権になってから民主党に向けて苦言を呈してきた。大統領選挙が迫った昨年3月には、メディアへの寄稿記事で「文在寅大統領は就任の辞で『分裂と葛藤の政治を変えたい』と言ったが、守られたものはほとんどない。就任の辞を読み直してみると、一編のギャグ原稿をほうふつとさせる」とし「彼のやったことは一貫して、分裂と葛藤を大きくすることにより『二つに割れた国』をつくること」だと述べた。2020年10月発行の『権力は人の脳を変える』では「文在寅政権のネロナムブルの事例を一つ一つ整理していたが、途中でやめてしまった」とし「わざわざ指摘するまでもなく、ほとんど全てがネロナムブルだったから」と記した。その上で「善き権力を旗印としたものの、自分たちにはそうしたDNAがあるとまで大声を張り上げる権力集団がネロナムブルの化身となるとき、どうすべきだろうか」と問い掛けた。

パク・サンギ記者

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