▲今月16日、動画共有サイト「ユーチューブ」の国防広報院公式チャンネル「国防テレビ」に「飛虎複合」兵器システムを広報する動画が掲載された。写真=ユーチューブ「国防テレビ」チャンネルより

 韓国国防部の所属機関「国防広報院」の面目が丸つぶれになった。このほど動画共有サイト「ユーチューブ」で「無人機の天敵」だとして地上配備型対空兵器「飛虎複合」を広報したのにもかかわらず、26日に韓国領空が北朝鮮の無人機(ドローン)5機によって侵犯されたからだ。動画を掲載してから十日しかたっていなかった。韓国軍は戦闘機と攻撃型ヘリコプターを出撃させたが、北朝鮮の無人機を1機も撃墜できなかった。こうしたことが報道されたことから、該当の動画には広報とは違う韓国軍の対応に失望したというコメントが殺到している。

 国防広報院は今月16日、ユーチューブの同院公式チャンネル「国防テレビ」に飛虎複合を紹介する動画を掲載した。飛虎複合は、K-30対空自走砲「飛虎」に携帯用対空ミサイルを装着した複合兵器システムで、「ドローン・キラー」としても知られている。国防部関係者も動画で「飛虎複合は低高度対空防衛を目的に開発された」「現時点で出ている兵器システムの中で最も効果的だ」と言っている。

 「ドローン? 無人航空機? 地上戦? 全部『トゥルワ(入ってこい)』! 飛虎複合が全部阻んでやる」という動画タイトルも注目を集めた 「トゥルワ」は韓国映画『新しき世界』(原題:『新世界』)の中のセリフで、怖がっていないことを表現したり、自信を見せたりする時に主に使われ流行語になった。

 ところが、北朝鮮の複数の無人機が26日に韓国領空を侵犯し、ソウル市北部や京畿道金浦市・坡州市、仁川市の江華島一帯を5時間以上飛行して戻ったというニュースが報道されるや、この動画があらためて注目を集めた。27日午後7時30分時点でこの動画の再生回数は44万回、コメント数は1600件を超えている。これまで国防テレビ・チャンネルで最高再生回数を記録した動画のコメント数は1120件だったが、これを500件以上も上回ったものだ。

 コメントのほとんどは韓国軍の対応を皮肉るものだ。「『入ってこい』と言ったら本当に入ってきたね」「『トゥルワ』は『いらっしゃいませ』という意味だったのか」「今、大騒ぎになっているんだから動画を削除すべきではないのか」「複雑な心境だ」「無人機は防げなかったけど、コメントは封鎖する予定です」などと書き込まれている。

 飛虎複合は26日の北朝鮮無人機領空侵犯には使用されなかった。北朝鮮の無人機は韓国軍が運用する局地防空レーダーや赤外線戦場監視システム(TOD=Thermal Observation Device)にはとらえられたが、飛虎複合など地上配備型対空兵器に搭載されている検知装置にはとらえられなかったということだ。その結果、韓国軍は空中戦力でのみ対応した。F-15K、KF-16などの戦闘機、KA-1軽攻撃機、アパッチやコブラといった攻撃ヘリコプターが投入された。

 韓国合同参謀本部のカン・シンチョル作戦本部長(韓国陸軍中将)は27日午後の記者会見で、「韓国にとって実質的な脅威となる攻撃用無人機は対応が可能だが、偵察用小型無人機は3メートル級以下という小さなサイズで、現在の韓国軍の検知・攻撃能力では制限される部分がある」「戦力強化のため多様な能力のドローン部隊を早期に創設する」と述べた。

チェ・ヘスン記者

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