コラム
【萬物相】よその文化を間違った形で受け入れた韓国のハロウィーン
ハロウィーン・デーはもともと宗教の祭だ。「諸聖人の日」というキリスト教の祝日がアイルランドの伝統的な祭と混ざり、1000年前からヨーロッパで根を下ろし始めた。しかし、アイルランドと英国、そして英国の植民地だった米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド程度に限られる。同じキリスト教圏でもヨーロッパ大陸のカトリックや東ヨーロッパの正教会の国々では今もほとんど見られないという。そういう点で韓国と日本は非常に特異だ。宗教的意味合いはなくなり、若者たちの熱気があふれる祭に変わった。
ハロウィーン・パーティーが韓国で幼稚園生や小学生たちの誕生日パーティーと同じくらい重要になってから10年近くたつ。子どもの英語教室で教育にハロウィーン祭を取り入れたことで流行したという。大人たちにとっては若いネイティブスピーカーの英語教師たちのパーティーが影響している。外国人が多く住むソウル市内の繁華街・梨泰院(イテウォン)がハロウィーンの聖地になったのもこのためだ。日本も同じ理由で外国人のクラブが多い東京・渋谷がハロウィーンの聖地となった。その過程で、テーマパークや食品メーカーの商売術も介入した。
こうした事情のため、環境的な危険性もほぼ同じだ。4年前、渋谷で「クレイジー・ハロウィーン事件」と呼ばれる事件が発生した。群集が突然、暴徒化して物をたたいたり壊したりしたほか、グループ同士でケンカするだけでは収まらず、女性に対してセクハラ(性的嫌がらせ)をする騒動を起こした。日本人は集会・応援・祭の時に比較的秩序を守る方だ。だが、ハロウィーンでは不祥事ばかりが無限に起こる。10月の最終週になると、日本の警察はテロ対策に準じる警備を渋谷で行う。
若者たちが集まると、熱気が度を越えることがある。酒が入ればもっとひどくなる。「覆面心理」も大きな影響を及ぼす。ハロウィーン祭の時、多くの人々が奇怪な仮面や服装で扮装(ふんそう)する。韓日のハロウィーンではアニメキャラクターに変身する「コスプレ」もある。英米圏のように最小限の宗教的敬虔(けいけん)さがあるはずもない。緊張感が緩むばかりだ。常に安全が崩壊する恐れがあり、危険が潜んでいる。
梨泰院で多くの若者たちが無念なことに命を失った。安全対策上、惜しまれる点が一つや二つではないが、原点にも立ち返るべきだ。外来の文化をこのように受け入れたことは果たして正常なことだったのだろうか。他人の文化を間違った形で受け入れたのが事故の原因ではないだろうか。英米圏でもハロウィーンの事故がないわけではない。しかし、子どもたちが近所を歩き回ってキャンディーを受け取るのを見ても分かるように、彼らにとってハロウィーンはコミュニティーの絆(きずな)を確認する文化だという。すべての祭の本来の意味も事実、こういうものだ。これまで韓国が経験してきたハロウィーンの中には、祭という仮面をかぶった「危険」が潜んでいた。実に無念だ。
鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員