▲城南FCのホームゲームを訪れた李在明・城南市長(当時)

 韓国のプロサッカーチーム、城南FCは2015年から2年間、ある市民団体から39億ウォン(約4億700万円)の支援を受けた。韓国検察はこの資金が先にインターネット企業大手ネイバーが市民団体に支援した40億ウォンの一部であり、ネイバーが見返りを求め、市民団体経由で城南FCを「う回支援」したとみて、急ピッチで捜査を進めている。支援は李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表が城南市長に在任していた時期に行われ、ネイバーは新築社屋の許認可を受けた。

 その過程でネイバーが提供した40億ウォンから1億ウォンを差し引き、資金の中継役を務めた市民団体「希望の暮らし」は、ジャーナリスト金於俊(キム・オジュン)氏の義弟とされる印兌淵(イン・テヨン)元青瓦台自営業秘書官の主導で設立された事実が判明した。

 水原地検城南支庁は今月6日、ネイバーに証拠隠滅の疑いがあるとして、同社社員ら3人の自宅を家宅捜索し、携帯電話などを押収した。9月26日、ネイバー本社と市民団体ローリングジュビリー(旧希望の暮らし)などを捜索に続く動きだった。検察は当時確保した証拠を分析する過程で、ネイバーが証拠隠滅を図ろうとしていることをつかみ、追加的な捜査に乗り出したという。社員らは城南FCへの支援および新社屋関連業務を担当していたとされる。

 検察がネイバーと希望の暮らしに対する捜査に着手したのは、城南FCが15年から2年間に希望の暮らしから受け取った39億ウォンの支援の出所がネイバーであることが判明したからだ。希望の暮らしは当時、ネイバーから計40億ウォンの支援を受け、うち1億ウォンを差し引いた39億ウォンを城南FCに寄付した。その後、ネイバーは城南市から第2社屋の新築許可を受けた。当時、城南FCのオーナーは、城南市長に在任中だった李在明民主党代表だった。李代表は支援の進行状況について報告を受け、最終決定を下していたという。

 検察は希望の暮らしの設立目的と城南FCへの支援が一致しない点に着目した。希望の暮らしは貸金業者からの借金で苦しむ人の返済を肩代わりするため、2012年に設立された社団法人だ。ウェブサイトには「簡単に借金ができる社会構造と不平等な金融環境の中で、金融機関の社会的責任を問い、債務者にやさしい金融環境をつくるために努力する市民団体」との説明がある。

 ネイバーが拠出した40億ウォンが本来の目的通りに使われたとすれば、多くの人々が「債務減免」の恩恵を受けることができた。しかし、希望の暮らしは城南FCのユニフォームに「ジュビリーバンク」というロゴを刻むため、ネイバーから受け取った40億ウォンから1億ウォンを除いた39億ウォンを城南FCに寄付した。

 希望生活の寄付金収入はネイバーが支援した2年だけ突出して多く、15年と16年はそれぞれ約21億5100万ウォン、約26億8100万ウォンだった。 これに対し、17年は約5200万ウォン、18年は約1050万ウォン、19年は約840万ウォン、20年は約6140万ウォン、21年には約1890万ウォンにとどまった。

 こうした状況で、希望の暮らしを設立した人物が金於俊氏の義弟とされる印元秘書官だった事実が23日までに分かった。チョソン・ドットコムによる取材の結果、印元秘書官は希望の暮らしが社団法人として承認される直前、準備委員会代表だったことが確認された。希望の暮らしで代表を務めた民主党の諸閏景(チェ・ユンギョン)元国会議員は取材に対し、「印氏が準備委員会代表だった」と証言した。

 国民の力側は、印元秘書官をはじめ、民主党関係者が組織的に事件に深く関与していたのではないかとする疑惑を主張している。前政権で与党擁護発言で物議を醸した金於俊氏の義弟が、李代表が城南市長に就任後、希望の暮らしの設立を主導し、希望の暮らし関係者が資金伝達役を務めた後、李代表が京畿道知事になると、京畿道傘下の要職に就いたからだ。

 ネイバー以外にも「城南FC後援金疑惑」に関与した業者はある。城南FCは李代表が城南市長再選後、斗山建設、NH農協銀行城南市支部、ネイバー、盆唐車病院、現代百貨店、アルファドームシティーという企業6社から後援金や広告費の名目で約160億ウォンを受け取った。検察は城南市が企業から資金を受け取り、許認可などで便宜を図ったとみている。 

チェ・フンミン記者

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