IT産業
TSMC・サムスン・インテル…激化する世界半導体大戦、カギ握るのは「ファウンドリー」
ブルームバーグは7日、ファウンドリー(半導体受託生産)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)について、第3四半期(7-9月)の好実績は最大顧客アップルのiPhone14発売効果を反映したものだとした上で、「TSMCは半導体企業の在庫が積み上がり、注文が減っている状況で、唯一沈滞期を避けている」と評価した。アップルは新製品の「iPhone 14 Pro」と「iPhone 14 Pro Max」にTSMCの4ナノメートル製造プロセスで生産された半導体チップを搭載している。TSMCはスマートフォン以外にも自動車・IT機器分野で1000社以上の顧客を確保している。
1987年に創業したTSMCがシリコンバレーの元祖であるインテルとメモリー半導体首位のサムスン電子を抜き、世界半導体業界最強の座に浮上し、ファウンドリーが半導体産業をけん引する成長動力として注目されている。10年前までは注文を受けた半導体を単純生産する工場として扱われたが、今では米国主導の半導体サプライチェーン再編の中心軸となった。電気自動車(EV)、自動運転車、モノのインターネット(IoT)、AIなどの先端技術分野で必要とされるシステム半導体を生産するファウンドリー産業は、好況と不況を周期的に繰り返すメモリー半導体とは異なり、今後数年間は爆発的な成長が続くと予想されるからだ。ICインサイツは世界のファウンドリー市場規模が2020年の873億ドル(約12兆7000億円)から25年には1512億ドルに達すると予想する。業界関係者は「メモリー半導体の『ダウンサイクル』は少なくとも来年まで続くのに対し、ファウンドリー需要は増加が続くと予想される。世界半導体大戦は『ファウンドリー大戦』になっている」と指摘した。
■投資競争が加速
主な半導体メーカーは、半導体の成長動力と指摘されるファウンドリー分野の競争力強化に死活を懸けている。国際半導体装備材料協会(SEMI)によると、今年の半導体企業の設備投資比率はファウンドリー分野が53%、メモリー分野が32%だ。
現在、世界3大半導体メーカーであるサムスン、TSMC、インテルは数十兆ウォンをつぎ込み、米国に大規模な半導体工場の建設を進めている。注目すべき点は、3社が新設するのは全てファウンドリー工場だということだ。サムスン電子は昨年11月、テキサス州タイラーに170億ドルを投資し、ファウンドリー工場を建設すると発表。年内に起工式を行う計画だ。TSMCも120億ドルを投資し、アリゾナ州に工場を設ける予定だ。インテルも9月9日、バイデン米大統領が出席する中、オハイオ州で200億ドル以上を投資する半導体工場の起工式を行った。半導体業界関係者は「米国が経済安保の中核である半導体産業で優位に立つため、520億ドルの補助金を掲げ、先端半導体を生産するファウンドリー工場を集約している」と話した。
半導体企業のファウンドリー投資規模は今後さらに拡大する予定だ。サムスン電子は最近、ファウンドリーの生産能力を27年までに今年に比べ3倍以上拡大すると発表した。インテルは今後10年間、欧州で拠点を拡大し、800億ユーロ(約11兆3000億円)を投資する計画であり、TSMCは日本とドイツにファウンドリー工場を建設する。TSMCによる今年のファウンドリーへの投資額は440億ドルに上る。
■小数点まで争う「ナノ競争」
半導体超微細製造プロセスの技術競争もファウンドリー分野が最も激しい。サムスン電子は今年6月、世界で初めて3ナノメートル製造プロセスによる量産を開始し、TSMCは年内に3ナノプロセスの量産を控えている。3ナノプロセスでサムスンは業界で初めて次世代技術「ゲート・オール・アラウンド(GAA)」を採用し、技術力を証明した。それに対し、TSMCは3ナノプロセスによる試験生産で収率が80%に達したと発表して対抗した。
半導体メーカーの未来技術競争も既に始まっている。TSMCは1.4ナノメートル製造プロセスの研究開発チームが6月から活動していることが分かった。3ナノ量産も始まっていない時点で、1.4ナノの開発に乗り出したのだ。サムスンもTSMCに追い付くため、1.4ナノプロセスを27年に導入する方針を明らかにした。昨年ファウンドリー事業への再進出を宣言したインテルは、3ナノプロセスをスキップし、2ナノ、1.8ナノプロセスをそれぞれ24年上半期、下半期に導入する計画だ。
李伐チャン(イ・ボルチャン)記者