▲一番上は『終わらない物語 全月善(チョン・ウォルソン)』という漫画。全月善氏とは金元雄(キム・ウォヌン)光復会元会長の母親だ。この本には金元雄氏の出生過程が紹介されている。写真=ノ・ソクチョ記者

 独立有功者の子どもたちの奨学金として使うべき資金を横領した疑いが浮上して今年2月に辞任した金元雄(キム・ウォヌン)光復会元会長に、数億ウォン(数千万円)の新たな不正疑惑が浮上している。光復会は独立運動家やその遺族・子孫の団体だ。金元雄氏が在任していた2年間で決済した法人カードの使用額7900万ウォン(約810万円)のうち、2200万ウォン(約230万円)が業務と無関係だった。パン・のり巻き・トッポッキ(もちのトウガラシみそいため)などの食品購入、コンビニエンスストアやスーパーマーケットでの使用分がほとんどだった。金元雄氏が個人的に経営する薬草学校(江原道麟蹄郡)と自宅(京畿道盆唐)の半径1キロ以内で週末に使ったものだけでもこれだけの額になる。金元雄氏は「光復会の法人カード」を銭湯代、かつらや美容費、薬代・病院代にも使っていた。

 また、金元雄氏が会長を務めていた2020年、光復会では「独立運動家100人漫画出版事業」を行い、印刷会社H社と10億6000万ウォン(約1億1000万円)の随意契約を結んだ。これは市場価格より90%以上高い額で、光復会に5億ウォン(約5100万円)台の損害を与えたというのが報勲処(省庁の一つ)の判断だ。こうして出版された漫画の中には、金元雄氏の母親を描いた「全月善(チョン・ウォルソン)編」もある。それは430ページの漫画で、著名な独立運動家の「金九(キム・グ)編」(290ページ)より大きな比重で製作されている。金元雄氏の出生の様子も2ページ(7カット)にわたって紹介されていた。家族の偶像化にまで公金を使っていたのだ。

 金元雄氏は先ごろ、独立有功者の子どもたちに奨学金を与えるために運営されていた国会カフェ収益金で不正資金をため込んでいたという疑惑が浮上して辞任した。光復会の建物内に家族の会社を置き、公文書に光復会会長の印を押して、公共機関を対象に営業もしていた。これは公私混同ではないのか、ということだ。

 このようなことをしてきた金元雄氏は2年8カ月の光復会会長在任期間中、正義・愛国の使徒であるかのように反日扇動の先頭に立ってきた。「大韓民国歴代政府は反民族親日」と罵倒(ばとう)し、李承晩(イ・スンマン)元大統領、韓国国歌の作曲家・安益泰(アン・イクテ)、ペク・ソンヨプ韓国陸軍元大将らをやり玉に挙げて「親日派」「民族反逆者」とののしった。不名誉な退陣をしながらも、「親日未清算は民族共同体の矛盾」と言った。

 金元雄氏は軍事政権時代、右派の民主共和党や民主正義党に所属していたという前歴について、「生計のためだった」と言い訳した。祖国に殉じた烈士たちの独立運動を食い物にして、私腹を肥やし、光復会を私組織化したのも生計のためだったというのか。殉国烈士たちは悲憤慷慨(こうがい)していることだろう。

ホーム TOP