海外から流入した仮想通貨が韓国国内の市場で違法に取引された後、差益が海外に持ち出された事件で、犯行グループが設立したとみられる複数のペーパーカンパニーが組織的に犯行に使われていたとみられることがを検察の調べで15日までに分かった。違法な資金取引と疑われることを避けるため、仮想通貨を分散し、韓国国内で差益を上げていた。検察は海外から流入した資金の出所は1カ所である可能性を視野に検挙済みの容疑者を調べている。

 本紙取材を総合すると、大邱地検反腐敗捜査部は今月10日、特定金融取引情報の報告および利用などに関する法律(特金法)違反などの容疑で3人を逮捕した。3人は日本から送られた仮想通貨を韓国国内の市場で販売し、手数料と差し引いた残額を日本に送金する差益取引を行っていた疑いが持たれている。仮想通貨が海外より韓国国内で割高で売れるいわゆる「キムチプレミアム」を利用した格好だ。金融当局に申告せずに仮想通貨を繰り返し売買し、差益を得る行為は「仮想資産を利用した営業行為」に当たり違法だ。3人は手数料として約40億ウォン(約4億600万円)を受け取ったという。

 検察や金融監督院によると、逮捕された3人の会社は別々だったが、事実上同一の会社とみられる。登記簿謄本によれば、A社は仁川市、B社とC社はソウル市論ヒョン洞にあるが、A社とB社は理事(取締役)の一部が重複している。また、B社とC社は同じ建物の別の階に入居している。A社とC社は当初の設立地がいずれも釜山市だった。法人登記時期も共通している。B社とC社は3月に法人登記を終え、A社は2カ月後に登記された。3社の事業目的はいずれも貴金属卸小売業、農水産物加工業などと申告されている。こうした状況からみて、3社は仮想通貨の違法取引に関与したグループが経営しているとみられる。法曹界関係者は「会社が銀行を通じて巨額の資金取引をする場合、金融当局に摘発される可能性が高いため、複数の会社に分散し、海外に不法送金したとみられる」と話した。検察は3社が差益目的で取引した仮想通貨の実質的所有者が同一人物である可能性もあるとみて調べている。

 金融監督院は昨年1月から今年6月にかけ、韓国の銀行経由で海外に送金された金額は約8兆5000億ウォンに上るとみている。今後は「キムチプレミアム」狙いの差益取引に関する検察の捜査が拡大する可能性もある。

兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者

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