北朝鮮総合
安倍元首相銃撃に驚いた? 北朝鮮当局が金正恩総書記を「密着警護」
北朝鮮当局が金正恩(キム・ジョンウン)総書記の身辺警護を大幅に強化していることが分かった。金総書記が公の場で活動する際、写真や映像にとらえられていなかった警護員たちが、最近になって多数写り込むようになったのだ。北朝鮮の消息筋は7月31日、「警備員が画面に写り込むと住民が動揺するなど、宣伝効果が下がるので、できるだけカメラの後ろに行くのが普通だ」としながらも、「宣伝効果を犠牲にしてまで完ぺきな警護をしなければならない特別な事情が発生したことを示唆している」と語った。先月発生した安倍晋三元日本首相の銃撃・死亡事件などが影響を及ぼしたのだろうという見方だ。
警護員たちが1号行事(金総書記が出席する行事)の報道画面に多数写り込んでいるのが確認されたのは、先月28日に平壌で行われた第8回全国老兵大会だ。同大会で金総書記が手を振り6・25戦争(朝鮮戦争)参戦者たちの前を通り過ぎた時、髪が短い屈強な警護員が4-5人、金総書記に密着して警護していた。紺色のストライプ柄のネクタイを結び、ワイヤレスイヤホンを装着した警護員たちは、金総書記が退役軍人たちに近づいて手を握ると、非常に緊張した面持ちで金総書記を取り囲んだ。2018-19年の南北首脳会談・米朝首脳会談時、金総書記の警護を総括したキム・チョルギュ氏(国務委員会警衛局長と推定される人物)の姿も見られた。
金総書記が屋外の公の行事で密着するような形で身辺警護を受ける様子はここしばらく目撃されていなかった。最近の屋外での行事を見ると、玄哲海(ヒョン・チョルヘ)国防省総顧問の国葬(5月22日)、平壌市内の薬局視察(5月15日)、閲兵式参加者との記念撮影(5月1日)などで、金総書記は警護員なしで行事参加者らと会話したり、身体接触をしたりしている。
報道画面に警護員が多数とらえられるほど金総書記の警護が強化されたのは、執権初期の2012年下半期以来、10年ぶりだ。金総書記は当時、「私の警護を保障する事業にまず注意を向けろ」と指示した。これにより、1号行事の会場周辺には自動小銃や手りゅう弾で重武装した警護兵力と共に重火器を入れた黒くて長いカバンを持った私服姿の護衛要員が配置された。金総書記の官邸や別荘をはじめとする専用施設30カ所には装甲車約100台を配備し、特別列車専用駅(1号駅)周辺の警護兵力も大幅に増強した。
北朝鮮事情に明るい消息筋は「2012年に金総書記が警護に没頭したのは、固め切れていなかった権力に対する不安が強かったからだ」「今は制裁や新型コロナ封鎖長期化に伴う経済難で内部が動揺し、権威が大きく損なわれているため、これにより身辺に脅威を感じているのだろう」と語った。
李竜洙(イ・ヨンス)記者