裁判
独立運動家を揶揄した漫画家ユン・ソイン氏不起訴
韓国の独立運動家を揶揄(やゆ)するような文章を掲載し、市民団体から告発されていた漫画家ユン・ソイン氏が検察で不起訴となった。
市民団体「司法試験準備生会」は11日、ソウル中央地検が8日、名誉毀損の疑いで告発されていたユン氏を証拠不十分で嫌疑なしとしたことを明らかにした。
ユン氏は昨年1月、自身のフェイスブックに親日派の子孫と独立功績者の子孫の古い住宅を比較する写真を掲載し、「親日派の子孫たちがあんなに懸命に暮らす間、独立運動家の子孫たちはいったい何をしてきたのか」とし、「いわゆる親日派というのは懸命に暮らしてきた人々であり、独立運動家はいい加減に暮らしてきた人々ではなかったのか」と指摘した。
市民団体は「ユン氏の普段の歴史認識からみて、問題の投稿が過去の歴史を虚偽で歪曲(わいきょく)し、463人の独立功績者の子孫の名誉を傷つけ侮辱した」とする告発状を提出した。警察は昨年9月、ユン氏を起訴相当で送検した。
検察は「独立運動家」または「独立運動家の子孫」という表現だけでは構成員一人一人の社会的評価に影響を及ぼしたとは断定できないと判断した。集団に対する非難では、その構成員に対する非難の程度が弱まり、影響を及ぼさないと評価される場合、名誉毀損が成立しないという判例があるからだ。
検察はまた、写真に登場する家に居住する独立運動家の子孫が誰かを特定できる情報がなく、ユン氏がその子孫を認識していたと認められる根拠も不足しているとした。さらに、名誉毀損罪が成立するためには「事実の摘示」が必要だが、ユン氏の表現は個人的な意見表明や論評にすぎないと判断した。
検察は侮辱罪については、「不快にさせる無礼な表現とは言えるが、客観的に被害者の人格的価値に対する社会的評価を低下させるほどの侮辱的な言辞に当たるとは言いにくい」と説明した。
市民団体は「まずは被害者の意見が優先であり、それによって抗告するかどうかを決める」と表明した。
イ・ガヨン記者