▲韓米両軍は6日、北朝鮮が短距離弾道ミサイル8発を撃って挑発したことに合わせて地対地ミサイル8発を対応射撃した。/写真=合同参謀本部提供

 韓米が6日、北朝鮮のミサイル大量発射に対応して8発のミサイルを発射した。これは、規模の点で歴代最大級というのに加え、北のさらなる挑発に際しては相応の強力な対応を予告したものでもあり、注目される。

 韓米両国は6日、北朝鮮が前日に8発のミサイルを発射した挑発原点などを精密攻撃するという概念で、最大射程300キロのATACMS8発を発射した。これまで北朝鮮のミサイル発射など戦略挑発に対する韓米の対応射撃は、玄武2とATACMSを合わせて3-4発というレベルだった。北朝鮮が多数のミサイルを撃ったことに対し、全く同じ数で、一種の「比例性」対応を行ったのも今回が初めて。

 北朝鮮は5日、4カ所からKN23など4種類の短距離ミサイルを合わせて8発、東海に向けて発射した。一部の発射地域はATACMSの最大射程から外れている。韓国軍の消息筋は「物理的な打撃距離に応じて韓米が全く同じ打撃手段で対応を行う『同盟』の誇示と、北朝鮮が発射したミサイルの水準に力点を置き、ATACMSだけを発射したようだ」と伝えた。先月25日に北朝鮮が火星17型ICBM(大陸間弾道ミサイル)とKN23ミサイルを撃ったときは、韓国軍が玄武2、米軍がATACMSを1発ずつ発射し、韓国空軍のF15K戦闘機およそ30機が滑走路に展開して地上走行する、いわゆる「エレファントウオーク」を行って武力を誇示した。

 これまで北朝鮮のミサイル発射や核実験などに対し、韓米は挑発のレベルおよび手段に応じてミサイルや空軍力など対応手段を変えてきたが、地対地ミサイルは欠かさず用いてきた。北の核・ミサイルに対応する「キルチェーン」と「大量反撃報復」戦略の核心手段だからだ。弾道ミサイルの場合、北朝鮮の主なミサイル基地や空軍基地、指揮所などの戦略目標を5-10分以内に正確に攻撃できる。韓米が6日に発射したATACMSは、弾頭内に手りゅう弾に近い威力を持つ「子弾」およそ900発が入っており、サッカーグラウンド3-4面に相当する面積を焦土化できる。韓国軍は米国から111発を輸入し、在韓米軍も400発以上を保有しているといわれる。

 現在の韓国軍の主力地対地ミサイルは国産の玄武2弾道ミサイルと玄武3巡航ミサイルだ。玄武2ミサイルには、さらに射程300キロから800キロ水準のA・B・C型の種類がある。韓米ミサイル指針の廃止で射程制限がなくなったことにより、射程800キロを超えるミサイルも開発中だ。昨年には世界最大級の弾頭重量の「怪物ミサイル」と呼ばれる玄武4の試射に成功した。玄武4は、高性能爆薬型の弾頭を載せた場合、1発で平壌の錦繡山太陽宮殿を無力化できる。また貫通型の弾頭を載せた場合には、地下100メートル以上の深さにある、いわゆる「金正恩(キム・ジョンウン)のバンカー(掩蔽壕〈えんぺいごう〉)」も破壊できるといわれている。韓国軍の消息筋は「玄武4ミサイルは、金正恩に恐怖心を感じさせて核・ミサイル挑発を抑制させ得る核心戦略兵器」と語った。

 玄武3巡航ミサイルは、弾道ミサイルに比べ飛行速度は遅いものの精度に優れている点が強みだ。韓国軍は射程500キロから1500キロまで3タイプを保有しており、一部の潜水艦・水上艦艇にも搭載されている。韓国軍の正確なミサイル保有規模は軍事機密のため確認は困難だが、専門家らは、玄武2および玄武3ミサイル合わせておよそ1000発を保有しているものと推定している。このうち、玄武2ミサイルの比重がやや高い。

 だが玄武2および玄武3ミサイルはどちらも、北朝鮮の核・ミサイルの脅威の核心である移動式発射台など移動目標に対する打撃能力はまだないといわれており、これについて早急な補完の必要性も浮上している。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は6日、顕忠日の追悼演説で「北朝鮮の核とミサイルの脅威を抑制し、より根本的かつ実質的な安保能力を備えていく」と語った。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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