英週刊誌エコノミストは27日、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、西側は「交渉を通じてできるだけ早く戦争を終結させるべきだ」とする「平和派」と「ロシアに大きな代償を払わせるために戦争を続けるべきだ」とする「正義派」に分かれていると報じた。いわゆる和平派と主戦派に分裂しているとの指摘だ。

 同誌によると、ドイツ、フランス、イタリアなど欧州連合(EU)の中心加盟国が和平派の先頭に立った。積極的な「休戦仲裁」にも乗り出した。ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は28日、ロシアのプーチン大統領との電話会談で、「戦争行為の早期終結」を強調し、「交渉を通じた外交的解決策を探ってもらいたい」と改めて要求した。イタリアは今月19日、停戦および平和体制構築のための「4段階の平和ロードマップ」を示した。そこにはウクライナ、ロシア、EUによる多者間の平和協定も盛り込まれている。

 エコノミストは「戦争後、ロシアが占領した領土を巡り、ウクライナは『1ミリの領土も譲歩すべきではない』との立場だが、和平派は『一部譲歩すべきだ』とみている」とし、「戦争が長引けば長引くほどウクライナと西側が払う費用が増大することに懸念が大きい」と伝えた。

 正義派(主戦派)は英国、ポーランド、そしてロシアと国境を接する旧ソ連国家のバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)などが代表的だ。これら国々は「対露制裁が効果を上げており、今後時間をかけ、より良い武器を多く支援すれば、ウクライナが勝利する可能性がある」との立場だ。

 英国は開戦以降、対空、対戦車、対艦ミサイル、装甲車をウクライナに供給し、米国に次いで活発な武器支援を行っている。「ロシアの脅威に直面したモルドバとジョージアにも武器を送るべきだ」とする主張もある。ポーランドはウクライナにT72戦車200台余りを提供し、ミグ29戦闘機の支援も推進した。22日にはポーランドのドゥダ大統領がキーウのウクライナ議会を訪れ、「ロシアが完全に撤退するまで戦争を続けるべきだ」と演説した。

 一方、エコノミストは西側のリーダーである米国の立場はあいまいだと分析した。「武器貸与法」を成立させ、400億ドルの軍事支援も承認したが、野砲や自走砲は構わないが、長距離多連装ロケット砲の支援は見送るなど事実上限られた支援を行っている。オースティン米国防長官も24日、キーウ訪問時に「西側はウクライナの勝利を助けるべきだ」と発言したが、今月13日にはロシアのショイグ国防相との電話会談後、「即時停戦すべきだ」と要求するなど米国のあいまいさが増している。

 エコノミストは「米ニューヨーク・タイムズが『ロシアの敗北は非現実的であり、危険でさえある』と主張し、キッシンジャー元国務長官も『今後2カ月以上戦争を継続することはウクライナの自由ではなく、ロシアとの新たな戦争になる』と警告した」とし、米国内で戦争早期終結を支持する意見が強まっていることを示唆した。

パリ=チョン・チョルファン特派員

ホーム TOP