▲韓国統一地方選の選挙運動開始を翌日に控えた18日午後、ソウル市西大門区の警察庁に設置された選挙事犯捜査状況室の入り口。/聯合ニュース

 共に民主党は「検察捜査権完全剥奪」が国民の自由と人権のためだと言った。しかし、検察捜査権完全剥奪による最大の恩恵は2年後の総選挙で国会議員が享受しそうだ。公職選挙法の公訴時効がわずか6カ月で成立するからだ。

 昨年8月に公職選挙法違反で当選が無効になった民主党の鄭正淳(チョン・ジョンスン)議員の事件を振り返ってみよう。鄭元議員は2020年4月の総選挙で当選したが、2カ月後に告発された。告発者は会計責任者だった。判決によると、「鄭元議員自身も自らの政治活動で最も近く、長い間助けを受けたと認めた人物」だ。告発者が会計責任者だった以上、鄭元議員が選挙費用を虚偽記載したという疑いは明白に思えた。しかし、鄭元議員は起訴事実を否認し、議員の身分を利用して検察の聴取を拒否した。検察はついに鄭元議員の聴取を行えず、公訴時効を迎える最終日の10月15日にようやく鄭元議員を起訴した。

 2024年4月22日の総選挙で同様の事件が発生したらどんなことが起きるか。検察は検察捜査権完全剥奪法案の成立で来年から選挙犯罪の捜査ができなくなる。捜査を全て担当することになる警察が最初に直面するのが24年の総選挙だ。次の総選挙の公訴時効が成立する24年10月10日が近づくと、警察は頭を抱えるはずだ。選挙に勝った国会議員がその時点で捜査に協力するはずはない。起訴権を持つ検察は公訴時効満了日まで悩むことができたが、捜査権しかない警察はそれもできない。警察が告発者の主張と一部の証拠だけで検察に起訴を求めれば、検察としては直接捜査したわけでもなく、無罪判決が出るかもしれない事件を起訴するのは難しいだろう。検察と警察が事件をたらい回しにして、6カ月が過ぎれば笑うのは国会議員だけだ。

 民主党は現在でも警察が検察より選挙犯罪の捜査を多く手掛けていると主張する。全体量としてはそうかもしれないが、選管は20年総選挙で541人を直接告発するに当たり、90人を警察に、451人を検察に告発した。判事も検事も混乱するほど複雑な公職選挙法事件は検察の方が経験豊富だからだ。経験は一朝一夕では蓄積できない。警察がそんな経験を積むまで得をするのは誰だろうか。

 こうした中、専門家は世界の主要国で最も短い韓国の選挙法の公訴時効を延ばし、捜査機関をもう少し保障することが補完策になると助言する。しかし、国会はそうした要求を無視してきた。自分たちに不利だからだ。捜査を拒否する議員、選挙捜査の経験が少ない警察、超短期の公訴時効が重なる次の総選挙では法の網をかいくぐる選挙犯罪が横行するかもしれない。そうした状況で得をする人物が今回法律を強行処理した。国民のためだったとだけは言うべきではない。

パク・サンギ記者

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