韓国軍
北から暗号資産を受け取って軍事機密をハッキング、韓国陸軍の現役大尉を逮捕(上)
北朝鮮の工作員からビットコインなど4800万ウォン(現在のレートで約490万円。以下同じ)相当の暗号資産を受け取り、北朝鮮の指令に従って韓国軍の戦場ネットワークのハッキングを試みた疑いなどで、韓国陸軍の大尉が逮捕された。戦場ネットワークは、韓国軍が軍事演習や訓練の際に情報をやりとりする統合戦時管理システムだ。韓国軍の現役軍人がスパイ活動を行って捕まるケースは今回が初めて。北朝鮮の工作員とただの1度も直接会うことなく、テレグラムなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(会員制交流サイト)を通して取り込まれ、活動したという点でも異例だ。
韓国警察庁、軍事安保支援司令部(韓国軍の情報機関)、ソウル中央地検は28日、合同捜査により韓国陸軍所属のA大尉(29)を身柄拘束の上、起訴したと発表した。また、北朝鮮の工作員からビットコイン、イーサリアムなど暗号資産7億ウォン相当(約7190万円)を受け取った代価として、A大尉が軍事機密を盗み出そうとするのに加担した、暗号資産投資会社代表のイ氏(38)も併せて拘束起訴された。
韓国捜査当局によると、海外居住のハッカーといわれる北朝鮮工作員は大尉とイ被告を取り込み、韓国軍の戦場ネットワークに当たる「韓国軍統合指揮統制システム(KJCCS)」をハッキングしようとしたことが分かった。KJCCSは、戦争や軍事訓練の際に韓国陸・海・空軍や米軍などの間で秘密文書をリアルタイムで共有し、地図など各種の視覚的情報も提供する、一種の通信システムだ。
A大尉と北朝鮮工作員の場合、A大尉の大学の同期生の紹介で知り合いになり、テレグラムでのみ連絡をやりとりしていたことが分かった。この大学の同期生と北朝鮮工作員も、あるオンラインコミュニティーで知り合ったという。当時、暗号資産投資の失敗などで借金があったA大尉に対し、北朝鮮工作員は「情報を持って来れば暗号資産を提供する」とアプローチしたと伝えられている。A大尉は昨年11月、工作員の指示を受け、「国防網陸軍ホームページ画面」や「陸軍保安守則」などを自分の使っていたスマートフォンのカメラで撮影し、テレグラムで伝送した疑いが持たれている。KJCCSの実行およびログイン画面の動画など、軍事機密も数回にわたって工作員に渡した。