社会総合
体育の授業は無駄?…レイティ教授「ハーバード大では試験期間中の運動を奨励」
「韓国では受験生や父兄の多くが『体育の授業は浪費』と考えていますが、これは完全に間違っています。ハーバード大学では試験期間には特にもっと外に出て運動するよう奨励していますが、これには理由があります」
「運動を奨励する精神科医師」として知られるハーバード大学医学部精神医学科のジョン・レイティ教授(70)が2年ぶりに再び韓国にやって来た。今月20日にレイティ教授にインタビューを行い、コロナ渦後の学校における日常回復に何が重要かを質問した。レイティ教授はこれまでの持論通り「学校を以前に戻すには体育の授業を回復することが何よりも重要です」とした上で「コロナが壊したのは児童・生徒の体力だけではありません。学力、情緒、社会的力量など全てが崩壊しました。これを回復する鍵は体育の授業にあります」と強調した。
コロナ渦で児童・生徒の体力が低下し、ストレスが問題になっているのは世界的な現象で韓国も例外ではない。韓国教育部(省に相当)学生健康体力評価(PAPS)によると、全国の初等学校(小学校)・中学校・高校で「低体力」とされる4・5等級の割合は2019年には12.3%だったが、昨年は17.7%に増えた。学力も低下傾向にある。2020年の国家水準学業成就度評価によると、調査対象となった中学3年生と高校2年生で基礎学力に到達できなかった生徒の割合は全科目で増加していた。今年2月には「コロナの影響で登校日が少なかった高校では成績下位生徒の割合がさらに増えた」との研究結果も公表された。
レイティ教授は「運動不足は学力にも影響を及ぼす恐れがあります」「成績を上げるためにも運動が重要です」と指摘する。「運動をしてこそ頭が良くなる」ということだ。レイティ教授によると、運動は脳細胞が新しい情報を次々と吸収できるようにしてくれるという。息が上がるほどの運動をすれば脳に大量の血液や酸素が活発に供給され、認知機能や記憶をつかさどる脳細胞の成長を促すタンパク質が多く分泌されるためだ。
この効果を示す典型的な事例が米イリノイ州のネイパービル高校で行われた「0時間目の体育実験」だ。生徒たちに朝の授業前に1マイル(約1.6キロ)走らせてから授業を受けさせ、これを1年間続けたところ、走らなかった生徒に比べ成績上昇の割合が2倍も高くなり、読解の点数も17%向上したのだ。ハーバード大学では学生たちが毎週集まってランニングを行う「ハーバード・オン・ザ・ムーブ」と呼ばれるキャンペーンが10年前から行われているが、これも同じ理由からだ。レイティ教授によると、運動が学習効果を高めストレスを軽減するのはハーバード大学ではもはや一般的な常識だという。
脳を活性化する運動としてレイティ教授はランニングや縄跳びなどの有酸素運動を強く勧めている。ただし学校の体育の時間では2-4人ずつチームをつくって運動する方がより効果が高いという。体育の時間は各自で運動するのではなく、互いに関わり合う時間にした方がよいということだ。レイティ教授は「一緒に運動すればルールが身に付き、相手に配慮する方法を学ぶことができます。意欲や幸福感を高めるホルモンもより多く分泌されます。こんなに重要な体育の授業時間は絶対に自習の時間にしてはいけません」と強調した。
キム・ウンギョン記者