ロシアとの戦争が続いているウクライナが、複数のルートを用いて韓国政府に韓国製兵器システムの支援を要請している。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が公に韓国へ武器支援を求めたのに続き、今度は駐韓ウクライナ大使が自ら韓国防衛関連企業への訪問を進めたのだ。ウクライナ側は、韓国が独自開発・生産している「ヒョン弓」(ヒョンは目偏に見の字)と「新弓」を希望しているという。ヒョン弓は携帯用対戦車兵器、新弓は携帯用地対空ミサイルで、戦力に劣るウクライナがロシアに対し効果的に立ち向かえる武器に挙げられる。

 

 ドミトリー・ポノマレンコ駐韓ウクライナ大使は今月15日、韓国の防衛関連企業LIGネクスワン板橋本社を訪問した。当初、韓国政府側の関係者も同行する予定だったが、訪問スケジュールが外部に漏れたことから白紙になったという。防衛産業関係者が18日に明らかにした。防衛産業関係者は「海外の大使や武官が現地の防衛関連企業を訪問するのはよくあること」としつつも「ただし、訪問の時期が問題だった」と語った。

 これに先立ち今月8日、ウクライナ国防省のオレクシー・レズニコウ国防相は韓国国防部(省に相当)の徐旭(ソ・ウク)長官との電話会談で携帯用対空ミサイルシステムの支援を要請し、今月11日にはゼレンスキー大統領が韓国国会におけるテレビ演説で、ロシアの艦艇やミサイルを防ぐことのできる軍事装備を要請していた。LIGネクスワン訪問を推進したのも、武器支援要請の一環だというのが業界の判断だ。

 ウクライナが韓国に要請した具体的な兵器リストは公開されなかったが、業界では、ヒョン弓と新弓を要請したと推定している。まずヒョン弓は、第3世代級の韓国製対戦車ミサイルで、LIGネクスワンが量産している。国防科学研究所(ADD)が2007年に開発に着手し、1500億ウォン(現在のレートで約154億円。以下同じ)を投じた末、2015年に開発に成功した。現在ウクライナ軍がロシアの装甲車両を相手に使っている米国産対戦車ミサイル「ジャベリン(Javelin)」と似ていて、「韓国版ジャベリン」と呼ばれる。

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