社会総合
文大統領夫人が訪仏時に着用したシャネル製ジャケット、仁川空港で展示中の服とは全くの別物
文在寅(ムン・ジェイン)大統領の妻・金正淑(キム・ジョンスク)夫人が2018年10月のフランス訪問時に着ていた高級ブランド「シャネル」のジャケットについて、青瓦台(大統領府)は「着た後に返却したが、最終的に国内の博物館に寄贈・展示された」と主張した。しかし、金正淑夫人が着ていた服と博物館に展示された服は「別の服」だったことが5日、本紙の取材の結果、確認された。訪仏から3年近く過ぎたころ、韓国側から「寄贈してほしい」という要請を受け、シャネルがあらためて仕立てて寄贈したということだ。
問題のジャケットは、シャネルのトップデザイナー、カール・ラガーフェルド氏がハングルを刺しゅうした生地を使って自ら製作した服で、金正淑夫人がパリでエマニュエル・マクロン大統領の妻ブリジット夫人と会った時に着て話題になった。
それから3年余りが過ぎた今年3月、金正淑夫人の衣類・アクセサリー購入資金の出どころについて疑惑が浮上した。青瓦台の卓賢民(タク・ヒョンミン)儀典秘書官はある番組で、シャネルのジャケットについて「借りた服を着て、シャネルに返したところ、(シャネル側から)『ハングルがデザインされているということで大きな意味があるので、韓国に寄贈する』と言われ、韓国に寄贈された。それが今、おそらく仁川空港に展示されているものだ」と語った。つまり、金正淑夫人が実際に着ていた服がそのまま展示され、寄贈も「シャネルの自発的な意思」だったということだ。
だが、取材した結果、違うことが分かった。まず、これらの服のウエストや肩などに入っているハングルの柄が一致していない。シャネル・コリアは「展示用に贈ったのは金正淑夫人が着た服ではなく、後に韓国から要請が来て、『もう一度仕立てた服』だ」と言った。この2着は別の服であり、寄贈もシャネルの自発的な意思ではなかったということだ。韓国文化体育観光部の関係者は「2018年にシャネルの服の貸与に関与した青瓦台関係者が昨年5月ごろ、シャネル担当者の連絡先を渡してきて、『シャネルを博物館につないでほしい』と指示した」と語った。
青瓦台は2018年、市民団体「韓国納税者連盟」から金正淑夫人の衣装代の出どころや特殊活動費の使用内訳などを公開するよう訴訟を起こされ、一審は今年2月に市民団体の主張を認めた。ジャケットが寄贈されたのは、訴訟がそうした判決結果に向かいつつあった時期だった。
本紙はシャネルと青瓦台に対し、「既に返却した服を寄贈するのに、なぜもう一度作らなければならないのか」と質問しようと何度も連絡したが、回答は得られなかった。
チェ・フンミン記者おわびと訂正:記事初出時、「青瓦台は報道資料を出し、寄贈に直接介入した事実を認めた」とお伝えしましたが、正しくは、青瓦台が 「寄付に直接介入した事実を認める報道資料」を出したことはありませんでした。おわびして訂正します。